多摩大学の「現代世界解析講座XⅣ」をインターネット聴講しています。
人間は怠け者ですので、こうして大学の授業を申し込んでも、単に聞き流したり、三日坊主で
終わったりします。そこで、少なくとも聴講料分は回収しようとブログに記録しています。
6月10日収録分は、理化学研究所の桜田一洋理学博士による「AIから拡張知性(EI)へ 全体知への
挑戦」でした。
IT技術は人々の生活を快適に、また安全にする技術のはずでしたが、“スマホ中毒”という言葉に代表
されるように、ネットワークに拘束され、生活の質(Quality of life)を下げている面もあります。
具体的には、次のような現象です。
●現実世界から得られる歓びではなく、ゲーム・ユーチューブ・SNS等の人口空間での時間消費に
誘導している。
●PC・スマホ・インターネットは、人と人の言語コミュニケーションだけを効率化させ、非言語で
伝達されるものを捨象している。
●グーグル検索やSNSは自分たちが欲しい情報だけを選択することで、自己の相対化や自己変革に
よる世界との協応の機会を失わせている。
こうしたデジタル化の負の側面を克服するためには、現実の世界は複雑で多次元に成り立っている
という認識を持った上で、はじめに「現実全体を感じ、体験し、了解する」という“知性”を働かせた後
に説明する“拡張知性(Extended Intellect)”がカギになります。
AIが人間の知能を超える転換点である“シンギュラリティ”が大きな話題となっていますが、桜田博士
によれば、「人口知能が自然知性を凌駕することはなく、シンギュラリティは幻想である。」と
なります。