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- 七月大歌舞伎~亡妻母への宙乗り~
小谷野です。
二週間前に妻を亡くし、母を亡くした父と息子の宙乗り(*1)を観てきました。
演じるのは市川海老蔵さんと息子勧玄(かんげん)君、晴れ舞台を観ることが叶わなかったのは34才でガンでなくなった小林麻央さんです。
4才という史上最年少の宙乗りも話題を集め、カンカン(勧玄君の通称)の一挙手一投足に観衆はどよめき、拍手万雷でした。
「カンカンはブランコもちゃんと乗れないのに宙乗りが心配」は、麻央さんの生前のコメントでした。
お話は江戸時代の大泥棒、日本駄右衛門を巡る奇想天外な物語「駄右衛門花御所異聞」です。この演目は現代では上演例がない復活狂言です。
舞台演出はゼロから作り上げたものです。大悪党を退治する秋葉大権現を海老蔵、その白虎を勧玄君が演じての宙乗りでした。
役者は、親の死に目より舞台が優先といいます。
海老蔵さん親子は、心の大きな傷を封じ込め、演目をこなしていました。
(*1)宙乗り:歌舞伎の演出で役者をワイヤーで吊し空中を飛行しているように見せること。
(*2)国立がん研究センターの累積罹患統計