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- 東京大学附属病院を訪ねて ~直美(ちょくび)がよくわかる~
小谷野です。
東京大学附属病院で、田中病院長はじめ、移植手術は佐藤医師、ロボット支援手術は久米医師、ゲノム医療は織田医師など、多くの現場医師から先端医療技術に関わる話を、映像を見ながら直接伺う機会を得ました。
東大は日本を代表する最高学府だけあり、その附属病院の先端技術は世界に誇れる技術であることを実感しました。
しかし、問題は山積みのようです。
(医師不足)
移植手術の現場では、毎年60人ものドナーの内臓が無駄になるそうです。
移植の順番待ちをしている患者は沢山居るにも拘わらずです。
移植の医療チームがすぐに結成できないのです。
チームには多くの医師、多くの専門家スタッフが必要ですが、どの人員もスケジュールは超過密で、移植チームの結成が短時間でできないそうです。
臓器は痛むスピードが早いので、ドナーが出てから手術できるまでの時間が勝負になるそうです。
医師は常にフル稼働しており、待機医師は極めて少ないようです。
(先端医療の収益)
最先端医療技術である移植手術は、1件あたり大きな赤字になるそうです。
必要な設備や人員数に見合った手術の点数(収入)設定にはなっていないそうです。
最先端、最難関の手術をすればするほど赤字が増えていくそうです。
事務局談では、リスクが少なく典型的な汎用手術をたくさん実施した方が、病院利益が大きくなるそうです。
一般の民間事業の真逆で、本来収益性が最も高いはずの案件が、赤字になるそうです。
(医師の処遇)
海外で手術費用1億円ほど支払う医療費が、日本では3,000万円程度で済むそうです。海外から日本で手術を受けたいという希望者が多いのも分かります。
そのしわ寄せの多くは、医師の処遇にいきます。
医師の働き方改革は2024年4月に始まりましたが、人命を預かることもあり一筋縄ではいかないようです。
救急や研修という名目があれば、年間「残業」時間の上限は1,860時間と、民間企業の年間労働時間数のような残業上限時間数であり、奴隷的な年間労働時間数が認められています。
人より何(十)倍も勉強して、人より何倍も働いて、先端医療に従事しても処遇は良いとはいえないのが勤務医の世界です。
人を助けたいという、一人一人の医師の善意に胡座を掻いている状況のようです。
(直美(ちょくび))
医学界の「直美」という言葉を最近はよく聞きます。
「直美」とは、6年間で医学部を卒業し、2年間の臨床研修を終えると、一般の診療科での保険診療は経験せず、そのまま美容クリニックに就職する医師をいいます。
深夜勤務や残業も少なく、命を預かるストレスもなく、初年棒2,000万円以上と、短い労働時間で多くのお金を得たい医師には、魅力的な職場が美容医療の世界です。
時給100万円の美容整形外科医がTVで話題になったこともありました。
~善意の上への胡座では、いずれ崩壊、小谷野でした~