0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

個人事業主が税金対策で買うものをご紹介!経費計上の注意点も

公開日:

個人事業主が税金対策で買うものをご紹介!経費計上の注意点も

課税所得をもとに税金が計算されるため、税金を減らすには経費を最大限計上する必要があります。とはいえ、事業に関係ないものは計上できません。この記事では、税金対策で買うことを検討して欲しいものや、効果的な減価償却の方法を紹介します。経費計上の際の注意点も解説しますので参考にしてください。

経費が多いほど、個人事業主の税金は少なくなる

個人事業主の所得は、基本的に以下の計算式で求めます。

所得 = 収入金額 – 必要経費

よって、同じ収入金額でも、計上する経費が多いほど所得が減少します。

所得が増えると税金も高くなるため、税金を抑えるためには「いかに経費を多く計上するか」が重要です。ただし、事業に関係のない費用は経費に計上できないため、必要な範囲で漏れなく計上する必要があります。

参考:事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁
参考:不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁
参考:所得税の税率|国税庁

なお、課税される所得は、上記の所得から各種控除などが差し引かれて決定します。個人事業主の課税所得や税金について、詳しくは下記の記事をご確認ください。

自営業の所得とは?年収や収入との違いや税金の計算方法を解説
個人事業主の税金はいくら?税理士はいらない?税金の種類やシミュレーションなども含めて解説!
家賃収入の税金はいくら?不動産投資の節税対策を解説

個人事業主が税金対策で買うことを検討できるもの

防災グッズ

税金対策でものを買うなら「どんなものがどんなタイミングでいくら経費に計上されるか」を把握することが重要です。例えば一定額以上のものは買った年に全額を経費として計上できず、数年にわたって計上する必要があります。

ここでは、個人事業主が税金対策で買うことを検討できるものを以下のジャンルごとに分けて紹介します。どんなタイミングでいくら計上できるかも併せて解説するので参考にしてください。

  • 非常食などの防災用品:消耗品費として原則買った年に経費計上できる
  • 事業に関連する書籍や学習費用:購入or受講した年に経費計上できる
  • 10万円未満の消耗品:ある程度は買った年に経費計上できる
  • 10万円以上20万円未満の資産:3年間3分の1ずつ経費計上できる
  • 10万円以上30万円未満の資産:青色申告なら買った年に経費計上できる
  • 10万円以上の資産:定率法に変更すると買った年の経費が多くなる

以下、1つずつ解説します。

非常食などの防災用品:消耗品費として原則買った年に経費計上できる

非常食や消火器といった防災グッズは、税金対策に有効です。なぜなら防災グッズは「使ったとき」ではなく、原則「買ったとき」に消耗品費として経費に計上できるからです。

自営業なら事務所やお店に、大家さんなら建物の共用部に以下のような防災グッズの設置を検討してみてはいかがでしょうか。

  • 非常用の飲料水や食料
  • 消火器
  • 発電機
  • 土のう(水害対策)
  • 簡易トイレや救急キット
  • 非常用ライト

本来、食品などの消耗品は「消費したとき」(使ったとき)に経費計上すべきとされており、買ったときには計上しません。しかし防災グッズの目的は「消費」ではなく「備蓄」であるので、「買って備蓄した」時点で効果があるとされ経費計上できます。

ただし、数年間備蓄できるものを毎年購入するなど、不自然な経費計上は税務署に指摘される恐れがあるため避けましょう。

また、計上する際は「従業員や客が帰宅困難になった場合のため」など、事業との関連性を明確にしましょう。備蓄が個人利用の範囲に留まる場合、経費として認められない可能性があります。迷う場合は申告前に税務署や税理士に相談するのがおすすめです。

参考:非常用食料品の取扱い|国税庁

なお、消耗品費として計上できるのは10万円未満の防災グッズです。スプリンクラーなど10万円以上の防災設備は、減価償却資産として扱います。

事業に関連する書籍や学習費用:購入or受講した年に経費計上できる

買うもの、という趣旨とはズレますが、スキルアップのための費用は発生した時点で経費に計上できます。例えば以下のような費用です。

  • 事業に関する書籍(新聞図書費)
  • セミナー受講料(研修費)
  • 事業に必要な資格を取得する費用(研修費)

ただし、事業に関係しない個人的な興味による資格取得などは、経費として認められません。計上する際は、事業との関連性を明確にしましょう。

研修費について詳しくは下記の記事をご確認ください。

【個人事業主】研修費を経費にできない例は?勘定科目も解説

10万円未満の消耗品:ある程度は買った年に経費計上できる

10万円未満の消耗品は、一定額なら「買ったとき」に経費に計上できます。例えば以下のような消耗品です。

  • インク
  • 文房具
  • 梱包材
  • ティッシュ
  • トイレットペーパー
  • 石鹸
  • ロッカー
  • 本棚

税法では本来、消耗品は「使い始めたとき」に経費計上すべきとされており、購入時には計上しません。そして年末に消費されていない品は「貯蔵品」として決算時に仕訳します。

とは言え、年末に毎回「まだ使っていないボールペンは…」と貯蔵品をすべて数え上げるのは大変です。そこで、ある程度定期的に購入し定期的に消費している品に限り、購入時に経費に計上できるルールがあります。

ただし、常識の範囲内での購入が必要です。年末に駆け込みで2年分の消耗品を買うなど、定期的な購入と見なされない場合は税務署に税逃れを指摘される恐れがあります。

参考:減価償却のあらまし|国税庁

参考:消耗品費|国税庁

参考:第2款 販売費及び一般管理費等2-2-15|国税庁

10万円以上20万円未満の資産:3年間3分の1ずつ経費計上できる

10万円以上20万円未満で買ったものは「一括償却資産」を選択すると、3年間で毎年3分の1ずつ経費に計上できます。例えば、以下のような機器や家具などが考えられます。

  • パソコンや周辺機器
  • タブレット
  • スマートフォン
  • カメラや周辺機器
  • 専門機材
  • デスクやチェア
  • プリンターやスキャナー
  • プロジェクター
  • 家電(エアコン、冷蔵庫など)

一括償却資産は、白色申告でも青色申告でも利用できます。確定申告の際は、収支内訳書や青色申告決算書の「減価償却費の計算」の欄に一括償却である旨を記入します。

一括償却資産のメリットは、本来の耐用年数に関係なく3年間で償却できることです。そのため、短期集中で高い経費を計上できます。

例えば15万円で購入したパソコンは、通常4年掛けて減価償却する必要があります。しかし一括償却資産にすれば、3年間で50,000円ずつ経費計上できます。

参考:一括償却資産とは|国税庁

参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

10万円以上30万円未満の資産:青色申告なら買った年に経費計上できる

「少額減価償却資産の特例」を使うと、10万円以上30万円未満で買ったものは、購入した年に全額を経費計上できます。

例えば15万円で購入したパソコンは、通常4年掛けて減価償却する必要があります。しかし少額減価償却資産の特例を使えば、全額の15万円をその年に計上できるのです。

確定申告の際は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の欄に少額減価償却である旨を記入します。ただしこの特例は青色申告者しか使えず、さらに1年間で合計300万円までという制限もあるためご注意ください。

一括償却資産や少額減価償却資産の特例について、詳しい解説は下記の記事を参考にしてください。

関連記事:少額減価償却資産とは?一括償却資産との違いやメリット、注意点も解説(監修中)

10万円以上の資産:定率法に変更すると買った年の経費が多くなる

一括償却や少額減価償却の特例を使わない場合、買ったものは「定額法」と「定率法」のいずれかで償却するのが一般的です。

通常、個人事業主は定額法で減価償却しますが、手続きすると資産ごとに定率法へ変えられます。資産を買った年の税金対策に悩む方は、定率法に変更するのがおすすめです。

なぜなら定額法の償却費が原則毎年同額であるのに対し、定率法の償却費は初めの年ほど高く年と共に減少するからです。よって、直近の経費を多く計上したい場合は定率法が適しています。

例えば15万円で購入したパソコンを定額法で償却した場合は、4年間毎年37,500円ずつを経費に計上します。一方、定率法に変更すると、初年度に計上できる経費は75,000円です。

初年度に限って言えば、「一括償却資産」にして3年間毎年50,000円ずつ償却するよりも多くの経費を計上できます。ただし、初年度に経費計上できる金額が多額になり、損失を3年間で相殺できない可能性もあるため注意が必要です。

定率法に変更するには、確定申告と同時に税務署に届出を提出します。しかし定率法は手続きだけでなく償却額の計算も煩雑です。手間を掛けてでも直近の所得を減らしたい方は、定率法への変更を検討してみましょう。なお、建物や建物附属設備などは定率法への変更ができません。

参考:定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)|国税庁

参考:所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続|国税庁

減価償却の計算方法や具体例など、詳しくは下記の記事をご確認ください。

減価償却とは?会計や税務の基礎知識と節税のポイントを徹底解説!

【税理士監修】任意償却と減価償却とは?法人・個人事業主での違いやメリット・デメリット

モノ以外に経費にできる費用をチェックし漏れなく計上しよう

自動車保険

上記では、個人事業主が税金対策で買うことを検討できるものや、その減価償却方法を紹介しました。

一方、ものを買うこと以外でも経費は計上できます。例えば特定の保険料や税金、家賃や光熱費の一部などは経費になります。

モノ以外に経費にできる費用・できない費用について、詳しくは下記の記事をご確認ください。くまなくチェックし、漏れなく経費を計上しましょう。

個人事業主はなんでも経費にできる?注意すべき5つのポイントも解説

個人事業主の経費はいくらまで?経費にできる上限と割合について解説

税金対策で経費計上したつもりが、損することもあるので注意

税金対策では「いかに経費を多く計上するか」が重要ですが、方法を間違えるとかえって損してしまうケースがあります。ここでは、経費計上の際の注意点を解説します。

過度な税金対策はペナルティの対象になる

事業に必要ない経費まで計上してしまった場合、過少申告加算税や延滞税といったペナルティの対象となります。ペナルティが科せられると、本来支払うべき額より多くの税金を支払うことになります。

ペナルティ、つまり追徴課税の内容について詳しくは下記の記事をご確認ください。

追徴課税とは?加算税の種類や計算方法、対象期間について解説

経費の額が大きければ、手元に残るお金も少なくなる

経費を多く計上して税金を減らすことが、必ずしもお得であるとは限りません。経費を計上して税金を減らすよりも、計上しない方が、結果的に手元に多くのお金が残る場合があります。

下記は、控除など考えず売上と経費だけで計算したシンプルなシミュレーションです。

前提条件

    • 売上:500万円
    • すでに計上が決まっている経費:100万円(家賃や通信費など)
  • 新たに計上しようか迷っている経費:100万円
  • 税率:所得税と住民税の合計の目安として20%で計算する

新たな経費を計上しない場合

新たに経費を計上する場合

売上

500万円

500万円

経費

100万円

100万円 + 

新たな経費100万円

= 200万円

課税所得

500万円 – 100万円

= 400万円

500万円 – 200万円

= 300万円

税金

400万円 × 20%

= 80万円

300万円 × 20%

= 60万円

手元に残るお金

400万円 – 80万円

= 320万円

300万円 – 60万円

= 240万円

表を見ると、支払う税金は「新たに経費を計上する場合」の方が少なくなります。しかし「新たに経費を計上しない場合」の方が手元に残るお金が多いことが分かります。

実際には控除や税率なども考える必要があるため一概にどちらがお得かは言えません。新たな経費を計上しようか迷う方は、事前にシミュレーションすることをおすすめします。

「売上を生み出す経費か」考えて支出する

税金対策で何か買うべきか迷う場合、それが「投資になるのか」を考えると良いでしょう。具体的には、売上を生み出すために必要な支出なのかを考えます。

例えば広告費や研修費は、将来的に売上を増加させる可能性があるため、効果的な経費と言えるでしょう。一方、事業にさほど関係のない、短期的な節税効果だけを狙った支出は、結果的に手元のお金を減らす場合があります。

節税のために無駄な支出をしてまで経費を計上しないよう気をつけましょう。

控除の活用など、経費計上以外の税金対策もチェックしよう

扶養控除

税金対策には、経費の計上以外にも様々な方法があります。例えば各種控除の活用や、法人化などが挙げられます。

経費計上以外の税金対策について、詳しくは下記の記事をご確認ください。

個人事業主・フリーランスの節税・税金対策とは?知っておきたい裏ワザやテクニックをご紹介 

個人事業主必見!おすすめの節税方法とポイントを徹底解説

税金対策で買うものに迷ったら税理士にご相談ください

経費計上は代表的な節税方法ですが、一歩間違えると逆に損をするケースがあります。さらに、高額なものを買った場合の減価償却の手続きや計算は煩雑です。

税金対策にお悩みの方は、ぜひ税理士にご相談ください。節税策の提案は、税理士の得意分野です。また、減価償却の手続きや計算も税理士がサポートできます。

税金対策で買うものについてお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談