最近、「地方消滅」という本を読みました。
全国1799の地方自治体のうち、約半分の896の都市は、将来的には消滅する可能性があるとのことです。
人口は、年々の出生数が死亡数を上回らないと減少していきますが、出生数は、出産適齢期女性の絶対数×出生率で算出されます。
つまり、出生率を上げるだけでは不十分で、出産適齢期女性の絶対数を減少させないことが、出生数を、すなわち人口を増やすために必要となるとのことです。そりゃそうだ。
先の896都市は、2010年から2040年までの若年女性(20歳~39歳)人口が50%以上減少すると予測されるのだそうです。このままいくと都市ごと消滅してしまうだろうと。
また、そのうち523都市については、2040年に人口が1万人未満となることが予測され、消滅する可能性が高いのだそうです。日本創生会議のサイトから資料をみることができます。
解決策のひとつとして、東京一極集中を是正し、地方を活性化すべし、とされています。
特に、地域の特徴ある資源を生かした産業を興し、雇用を増やし、住民の定着に成功している都市を見習おうとのことです。
たとえば、独自に農業の産業化に成功した秋田県大潟村や、メガネ産業が盛んな福井県鯖江市、世界的リゾート地となっている北海道ニセコ町、木くずを燃料とするバイオマス発電に取り組む岡山県真庭市など、参考にすべきお手本都市があるそうです。
このような取り組みを各地で活性化させるアイデアとして、「現代版参勤交代」をしてはどうかという意見も紹介されていました。つまり、地方公務員が中央の霞が関に、国家公務員が地元の地方に戻り、人材の交流を図り、地方活性化のための情報共有、事業振興を図ろうというものです。いいですね。
そういえば、先日読んだ浅田次郎氏の「日本の「運命」について語ろう」にも参勤交代の副次効果について書かれていました。長州藩において、水戸藩ゆかりの尊王思想が盛んになったのは、参勤交代制度に遠因があったのではとか。参勤交代制度により各藩の藩邸が江戸に集められたおかげで、ご近所同士だった長州藩と水戸藩とは、藩士の通う剣術道場も同じで、自然意見交換も盛んだったのだろうと。
幕末に参勤交代を廃止すると、街道沿いの経済が打撃を受け、江戸藩邸でも大量のリストラが生じ、不況が一層進んだとか。
現代においても「参勤交代制度」を復活させ、都市と地方、地方と地方の人材交流、情報交流を活発化させるのが、日本を元気にさせるキッカケになるかもしれませんね。