こんばんは。
ひさしぶりに本の紹介をしてみようかと思います。
日本国憲法を口語訳してみたら
塚田薫:著 長嶺信彦:監修 幻冬舎
去年から今年にかけて、憲法改正の議論が本格化してきている感もありますが、そもそも憲法ってなんなの?という考えをもったのがこの著者でした。
インターネット上で『憲法を口語訳してみよう』というカキコミをしたところ瞬く間に話題になり、法律学者などの専門家も担ぎ出して出版に至ったのだそうです。
確かに、憲法にどんなことが書いてあるかは、学校で習った程度は知っているものの、中身をひとつひとつ説明しろと言われてもなかなか難しいかもしれません。
ただまあ、口語訳にすることで伝わりやすくなるかはわかりませんね。
例として、憲法25条の社会権の条文の口語訳を引用してみます。
第25条
俺たちはみんな、健康で人間らしい最低限の生活をする権利があるよ。(本文より)
少し砕けた印象です。
憲法の口語訳のほかにも、中世から近代にかけての、市民が権利を勝ち取って憲法を作っていく歴史の話なんかがわかりやすく説明されていて、実に読みやすいです。
とにかく、まず憲法を知らなくちゃ。
変えた方がいいとか悪いとか、そういうことを考えることもできません。
第97条(原文)
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第97条(口語)
この憲法が大事にしてる基本的人権っていうのは、世界中の人たちがこれまで何百年もずーっとがんばって考えて、闘って、そして勝ち取った結果だよ。これは俺たちと俺たちのガキ、またそのずっと先のガキまで永久に受け取った、誰にも侵されない超重要な権利なんだ。(本文より)
監修者の文章のなかに書いてありましたが、憲法における重要なキーワードについて、そのまま使うべき文言はあえて残しているのだそうです。ただ砕けた表現にすればいいってわけじゃない。
こだわりの一冊です。
一読の価値はあるかと思います。