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- 幸不幸を決めるのはその人自身 ~ダニエル・ネトル英国心理学者~
小谷野です。
原油先物価格がマイナスなど、異常事態は続いていますが、
今回はコロナ話題から離れて、英国の心理学者が世界各国の研究データから、
幸福の正体を探ろうとした書籍「幸福の意外な正体」(きずな出版2020.2.15発行)
から印象に残った記述です。
<幸福度の自己評価と健康の関係>
これは、健康なら幸福という話ではありません。
アメリカの修道院における超長期間の調査結果です。
最初の修道誓願するときに書く、自伝的な文章において、
シスター達がどの程度ポジティブな感情を表現しているかを評価し、
その後の彼女たちの平均寿命を調べたデータです。
自伝文でポジティブな感情を表現していた
上から25%のグループのうち9割が85歳になっても健在でした。
逆にポジティブな感情表現に乏しかった25%は、
85歳まで生きた人は34%しかいなかったそうです。
コロナショックの中で悲観的な思考だけに染まれば
体の抵抗力が下がり健康を害するという評論家の意見にも一理ありそうです。
ポジティブな感情思考が心身の健康につながることを示す研究は
多くありますが、この調査結果もその好例といえるでしょう。
このブログでも過去、笑う頻度と死亡・病気のリスクを分析した
山形大学医学部のコホート研究を取り上げました。
滅多に笑わない人は、よく笑う人と比べて、
脳卒中など心血管疾患の発生率が高いことが研究で明らかになりました。
<真の幸福は非地位財から>
米国経済学者ロバート・H・フランクがいう「非地位財」が真の幸福をもたらす。
地 位 財:所得や車など、人と比較できるもの
非地位財:健康、自由など、他人が持っているかと関係なく喜びを得られるもの
<物質的な豊かさと幸福度レベル>
物質的な豊かさは向上したが幸福度レベルは上がっていない理由の分析です。
情報のグローバル化によって、比較対象の情報が溢れて、
もっといいものが世の中にある事を知る機会が多い。
社会が豊かで、職業の選択が自由で、様々な生き方ができるので、
どこかにもっとよりよい「完璧な幸せ」があるはずだという期待を
抱かされてしまう。
<重要なのは>
強いネガティブ感情は,健康をむしばみ、気力を削ぐ。
幸不幸の中間よりもましであれば「そんなものだ」と思うことが賢明である。
19世紀米国の小説家ナサニエル・ホーソーンの言葉が引用されていました。
「幸せとは蝶のようなもの。
捕まえようとすると手の届かないところに飛んでいっていってしまうが、
こちらが腰を下ろしてじっとしていれば、そっと羽を休めに来てくれる。」
~胡蝶の夢を見る、小谷野でした~