- HOME
- 代表 小谷野幹雄のブログ
- ノーベル経済学賞~貧困、健康、消費~
小谷野です。
2015年ノーベル経済学賞受賞のアンガス・ディートンの『大脱出 健康、お金 格差の起源』(みすず書房)を(ななめ)読みました。
ノーベル経済学賞といえば、金融工学など先進国の市場研究や政策にかかる内容が多いのですが、アンガス教授は、先進国のみでなく途上国など貧困国にも大きな焦点を当て、富と健康、福祉、消費などの研究を行っています。
増税の所得層別へのインパクトなど実際の経済政策立案にも有効であったとされています。
所得水準は一定額を超えると幸福の度合いが小さくなるなど、興味深い研究にあふれていました。
ところで、日本人がノーベル経済学賞を受賞することは、難しいといわれます。
理由は、日本には完全な自由競争の市場が少なく、研究に必要な統計データを身近に取ることが難しいこと、政治の中に経済学者が少なく、政策として実践する場が少ないことが指摘されています。
大学関係の知人によれば、世界銀行など国際機関のプロジェクトに日本人経済学者の参画が増えれば研究の幅が広がり受賞のチャンスも増えるだろうとのことです。