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- 繰り返される投資詐欺(3)~騙す手口・守る手口~
小谷野です。
株式市場が35年ぶりの活況ということもあり、怪しい投資話を周辺で多く聞くようになりました。
定石的な詐欺手口が繰り返され、真面目に生きてきた人の人生を破綻させる事件を今も繰り返し見ています。
今回は、投資話を持ち込む人間の多様性です。
1. 詐欺に加担した知人
私のところへ、金融のプロでもない知人から、投資話が持ち込まれました。
運用内容が怪しいのでお断りしましたが、なぜこんな営業をしているのか後にわかりました。
投資の詐欺会社が、それなりの人的ネットワークがあると思われる人を「顧問」として、何人も取り込んでいました。
毎月の顧問料を受け取っている負い目から、顧問は自分や身内資産の多くを詐欺商品に投資していました。
詐欺と気づいた知人が返金を申し出ても、当然会社は応じず、どうしても返金してほしければ、これから新規で集めた分だけ返金に応じるといわれて、詐欺の片棒を担ぐことになったようです。
1. 素晴らしい投資と心底信じる営業マン
詐欺商品を営業マンが卓越した金融商品と信じている場合、目を輝やかせて熱心に勧められ、熱意に騙されることもあるので留意が必要です。
証券時代の後輩の営業マンが、素晴らしい投資商品なので、自分の親、兄弟、親戚までその金融商品を購入させたと自慢していました。
こんないいものを買わなければ、先輩は愚かだとも説得されました。
私は通常、投資話に深入りはせず、「すごいね、だけどいま流動資金がないんだよ」と断るのですが、元職場の後輩ということもあり、商品設計の疑問や、数々の矛盾点を指摘していくと、後輩は青い顔になって帰っていきました。
結局、運用実態のないポンジスキーム詐欺(*)で、あえなく会社もファンドも消滅しましたが、家族や親戚の金融資産を消滅させた、後輩の立場は想像を絶するものがあります。
(*)ポンジスキーム詐欺:
実際の資金運用はせず、後からの出資者のお金を、以前の出資者の配当に回していく、破綻を前提とした詐欺スキーム。
20世紀初頭、米国の著名詐欺師チャールズ・ポンジが名前の由来。
1. 人間的に魅力的に見える詐欺師
ある詐欺師は、いつも英国トラディショナルなる三つ揃いで決めて、知的な話題が豊富で、真摯に、紳士的振る舞いをして、魅力的な人間を演じていたようです。
江戸時代から続く老舗事業の後継者は、銀座のクラブで出会ったこの人間の投資話に実印や白紙委任状を預けるほど信頼する関係となっていきました。
反対する家族の前では、「お前たち(家族)よりもこの男を信じる、そして大切だ」と怒鳴ったそうです。
この言葉によってできた家族の心の傷は、本人が故人となっても癒えることはありませんでした。
故人は、幼少から大学までの一貫校出身で、常に上流家庭の友人、知人に囲まれ育ってきており、人を疑うことが苦手であったのかも知れません(私見)。
残っていた詐欺師の名刺にあった会社は、登記もなく、実在しない会社でした。
この顛末は、詐欺師が作って逃げた債務弁済のために、代々の老舗企業は売却、代々思い出の詰まった邸宅も処分されました。
(続く)
~老け早く、賞味期限詐欺と、奥の声、小谷野でした~