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- コーポレートガバナンス ~形式から実質が望まれる~
小谷野です。
先月は多くの企業で株主総会が開催されました。
私も複数の東証一部上場会社の役員を拝命しておりますので、株主総会のあり方や、企業統治(コーポレートガバナンス)のことを考える月となりました。
企業統治の仕組みとして優等生と言われた「東芝」や「みずほ」が、このガバンス分野で大きな問題を起こしました。東芝の株主総会では異例の役員候補者の否決、みずほFGは、頭取辞任にまで発展しました。
両社が、優等生と言われた理由は、独立した社外の人間が取締役会の議長に就任したり、また社外の人間が、役員指名、役員報酬を決める第三者的委員会を設置しているなどの「形式」面の評価でした。今回、「実質」的な機能には疑問が残りました。
<我が国の関連ルール>
・ 「コーポレートガバナンス・コード」東京証券取引所(2021年6月11日改訂)
・ 「投資家と企業の対話ガイドライン」金融庁(2021年6月11日改訂)
・ 「責任ある機関投資家(日本版スチュワードシップ・コード)」の諸原則
スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会(2020年3月24日)
会社側だけではなく、議決権を行使する機関投資家側においても、個別に多くの形式基準が導入されつつあります。
例えば、話題の「役員の選任」議案では、
・社外役員数が2分の1以上でないと社長再任に反対票
・社外役員候補者が過去金融機関など会社の取引先に在籍していた場合には反対票
・女性候補者がいない役員選任案には反対票 etc…
<オーナー企業への影響>
日経新聞始め、様々な研究機関が行う上場会社分析において、オーナー経営は、売上高成長率、自己資本比率、純資産利益率ROEが高く、また経営の危機においては、雇用を守ることを優先し、投資の即時停止、保有資産の換金化によって手元資金を確保する傾向がある(非同族経営では、まず人員整理で危機突破を図り、資金調達は新規の借入により長期資金を確保する傾向がある)などの分析報告が見られます。
ガバナンスの様々な形式基準の導入は、大胆な決定を素早く行い、攻めの経営を行うオーナー経営には足かせになると指摘するアナリストもいます。日本で米国等と同じように社外の人間が、その会社の経営者を決めたり経営者の報酬を決めることが実質的にできるのか疑問の意見もあるようです。
「仏を作って・・・」から、実質的な「開眼」が待ち遠しい。
~我が家の独裁者のガバナンス基準は?、小谷野でした~