会計・税務の知識

2024年07月11日 発行国税の猶予制度とは ~納付が困難な場合の対処方法~

はじめに

 

税金を納付することが困難な場合、納付を一定期間猶予してもらえる制度をご存じでしょうか。

猶予制度を活用せずに納付をしないで放置すると財産の差押えをされるリスクが生じてしまいます。

今回は国税の猶予制度についてご紹介します。

 

 

1.国税の猶予制度とは

 

国税の猶予制度とは、税金を期限までに一括で納付することができない場合や、一括で納付してしまうとその先の事業を継続することが困難な場合、また、災害で財産を損失した場合などの特定の事情があるときに一括での納付を猶予してくれる制度です。

 

 

2.猶予制度の種類

 

猶予制度には納税の猶予と換価の猶予があります。

換価の猶予にはさらに申請による換価の猶予と職権による換価の猶予があります。

 

⑴ 納税の猶予

納税の猶予は国税通則法に基づく猶予制度で、国税の納期限前に、震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により財産に相当な損失を受けた場合に納税の猶予を受けることができます。

納税の猶予は納税者が猶予の申請をすることによりその猶予を受けることができます。

 

⑵ 申請による換価の猶予

申請による換価の猶予は国税徴収法に基づく猶予制度で、以下の要件を満たす場合にその申請が許可され、換価の猶予を受けることができます。

 

1. 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。

2. 納税について誠実な意思を有すると認められること。

3. 猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと。

4. 原則として、担保の提供があること。

5. 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請があること。

 

⑶ 職権による換価の猶予

⑴、⑵に該当しない場合で、例えば既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長の職権による換価の猶予を受けられる場合があります。

この場合、具体的には税務署に対して一時の納付が困難な理由を説明し、相談することが必要です。

 

 

 

3.担保

 

2.⑴の納税の猶予について、担保は必要ありません。

2.⑵の申請による換価の猶予と2.⑶の職権による換価の猶予については原則担保の提供が必要です。

ただし、次の場合は担保の提供が必要ありません。

 

⑴ 猶予を受ける金額が100万円以下である場合

⑵ 猶予を受ける期間が3か月以内である場合

⑶ 提供することができる担保がない場合

 

 

 

4.猶予された場合の効果

 

⑴ 納税の猶予の場合

1. 被害の状況に応じて納期限から1年以内の期間に限り、納付が猶予されます。

2. 猶予期間中の延滞税が免除されます。

3. 財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。

 

⑵ 換価の猶予の場合

1. 原則として1年以内の期間に限り、納付が猶予されます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります。)。

2. 猶予期間中の延滞税が軽減されます。

3. 財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。

 

 

おわりに

 

国税を期限内に納付できない場合は猶予制度を積極的に活用することにより、延滞税の一部免除、全部免除が可能となる場合があります。

猶予制度の詳しい内容は以下の国税庁のホームページをご参照ください(閲覧日2024年6月14日)。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/annai/index.htm#a03

(担当:今野)

 

 

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