会計・税務の知識

2023年05月18日 発行外国人労働者の方の個人住民税

はじめに

 

厚生労働省よると、令和4年10月末現在の外国人労働者数は約182万人超となり、過去最高を更新したと公表されております。

そこで今回は、日本で働く外国人の方向け及び外国人を雇用する事業者の方向けに、個人の住民税の制度についてご紹介します。

 

 

 

1.住民税とは

 

住民税は、1月1日時点で日本に住所があり、一定額以上の給料などをもらっている人であれば、外国人の方でも住んでいる市区町村に納める税金です。

1月2日以降に日本から出国した場合でも同様に、納税義務があります。

もし、支払うべき住民税が支払われていない場合は、在留期間の更新申請等が許可されない場合があります。

 

 

 

2.住民税の納付

 

納付すべき額は、前の年の1月1日から12月31日までにもらった給料などで決まります。

住民税を納めるには、次の2つの方法があります。

 

(1)給与からの天引き(特別徴収)

会社が、あらかじめ給料から住民税を差し引き、会社側で市区町村に納めます。

会社で働く人はこれが原則であり、自分で市区町村に住民税を納める必要はありません。

 

(2)自分で納付(普通徴収)

毎年6月頃に、市区町村から通知書と納付書が郵送で届きます。

この納付書に記載された税額を各人が金融機関などで納めます。

 

 

 

3.会社を辞めることになった場合

 

特別徴収によって住民税を納めている人が会社を辞めることになった場合は、納めていない住民税を普通徴収の方法に切り替えて納付する必要があります。

ただし、会社に納めていない住民税の全部を給料や退職金から差し引いてもらい、市区町村に納付してもらう方法(一括徴収)もあります。

 

 

 

4.日本から出国することになった場合

 

日本から出国するまでの間に住民税を納付することができない場合は、出国する前に、日本に住んでいる人の中から自分に代わって税金の手続きを行う人(納税管理人)を決めて、住んでいる市区町村に届け出る必要があります。

 

 

 

5.外国人を雇用する事業者の方へ

 

所得税の源泉徴収義務がある給与支払者(常時二人以下の家事使用人のみに対し給与等の支払をする者以外の給与支払者)は、原則として、納税義務者である従業員に代わって、毎月支払う給与から住民税を特別徴収し、従業員が居住する市区町村に納付することが義務付けられています。

外国人を雇用する場合でも、日本人の従業員と同様に特別徴収を行っていただく必要があります。

 

 

 

6.外国人を雇用する事業者の方へ

 

事業者の方から従業員の方へ以下の手続きについてご案内いただけますと、住民税の納め忘れを防止できます。

なお、日本人と外国人で手続の方法等が異なるものではありません。

 

(1) 残りの住民税(特別徴収税額)の一括徴収

本人から申出がある場合は、退職時に支給する給与や退職金から残りの住民税を一括して徴収することができます。

(※)1~5月に退職する場合は、申出の有無にかかわらず一括徴収を行っていただく必要があります。

 

(2) 納税管理人の選任

帰国する方で、日本から出国するまでの間に住民税を納めることができない場合は、出国する前に、日本に居住する方の中から、自身に代わり税金の手続きを行う方(納税管理人)を定め、市区町村に届け出る必要があります。

 

 

 

おわりに

 

住民税の納付漏れがないようご注意ください。

(担当:新谷)

 

 

 

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