会計・税務の知識

2024年05月09日 発行中期経営計画の作り方(9)

はじめに

 

中期経営計画の作り方シリーズでは、中期経営計画の概要、全体の手順や考え方を掴んでいただき、シリーズ⑤以降から、経営理念の作り方、という内容でお送りしております。

今回は、近年注目されている、パーパスと経営戦略について、ご案内いたします。

 

 

1.パーパスと経営戦略

 

パーパス策定にあたり、経営戦略の見直しが必要となる会社が多く存在します。

経営理念やパーパスは、会社の大きな方向性や土台の考え方を示すものとなります。

これを明確化すると、過去に、「儲かるから」といった安易な動機で展開されていった、経営理念やパーパスに沿わないビジネスや商品が潜在していることに気付きます。

特に、常に規模拡大を求められるような会社に、この傾向が出やすいと言えます。

 

従って、経営理念やパーパスを策定、見直した後は、その経営理念やパーパスに基づいたビジネスや商品展開になっているか?を見直し、もしくは、リブランディングする必要があります。

 

この点は、CI(コーポレートアイデンティティ)として、従来から表現している会社もあります。

 

 

 

2.CI(コーポレートアイデンティティ)

 

CI(Corporate Identity)とは、企業や組織の事業内容や理念、文化等を体系的に整理し統一した企業イメージを、メッセージやデザインを通じて、社内外に発信することを示しています。

CIのブームは、1980年頃に一度到来しました。当時のCIは、マーケティングを含めた、会社のイメージの統一、という要素が強かったように思います。その結果、コーポレートカラーや、ロゴから始まり、企業メッセージの統一等、現在のパーパスブームと同様の兆候が見られます。

そして、パーパス導入を機に、このCIの見直しを行う企業も増えており、再構築したメッセージを投げかけています。

CIの見直しが起こる背景を考察してみると、当時のCIは、マーケティングに用いられることが多く、わかりやすさ、明確な他社との違い、といった視点が重要であったかと思います。

 

パーパスによる再構築の要因の1つに、多様性が挙げられると思います。多様な消費者や雇用を生むためには、明確さよりも、少し抽象的に、その範囲をより広げて、受け手側の思考に委ねることによって、許容範囲が広がるように思います。

従って、近年構築されているパーパスは、従来のCIよりも、抽象的な懐の広さを感じます。

また、積極的なCI戦略は、大企業のBtoC向けビジネスで流行りを見せましたが、パーパスの概念では、BtoBや中小企業においても、コスト面を含めて、扱いやすい概念であると言えます。

 

 

 

3.経営理念やパーパスによる変革

 

本シリーズは、中期経営計画の策定方法というテーマでお送りしておりますが、経営理念やパーパスが策定でき、その後中期経営計画の策定まで一連で持っていければよいものの、シリーズ④でご案内した創発的な発想をもって計画策定や事業を推進することも必要です。

構築した経営理念やパーパスは、そこからの展開として、CI見直しプロセスと同じように、会社から発信するメッセージを変えていきます。

具体的には、ホームページの更新や、名刺、パンフレット等、変更する必要があります。この点は、中期経営計画の策定と同時並行的に進める方が良いかと思います。

 

 

 

おわりに

 

以上、ここまでは経営理念というテーマで、様々な視点からアプローチしてきました。これら全てを行う必要があるわけでなく、必要に応じて、会社にフィットしたものを深堀し、構築するのが良いですね。

今回で経営理念の章を終了し、経営戦略の構築について、展開して参ります。

また次回以降、お楽しみに!

(担当:横瀬)

 

 

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