令和2年5月より、業務のデジタル化(テレワーク等)を促進するために、中小企業経営強化税制の適用対象としてデジタル化設備が追加されました。
そこで本稿では、中小企業経営強化税制の概要と手続きについて解説いたします。
中小企業経営強化税制とは、中小企業者等(注)で、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画(3.ご参照)に基づき、令和3年3月31日までに、特定経営力向上設備等(2.ご参照)の新規取得等をし、指定事業の用に供したときには、即時償却又は取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の中小企業は7%)の税額控除のいずれかを選択できる制度です。
税額控除は、その事業年度の法人税額の20%が限度となりますが、控除しきれなかった金額については1年間の繰越しが認められます。
(注)資本金又は出資金の額が1億円以下の法人であっても、大規模法人の支配下法人等は除かれます。
類型 |
生産性向上設備(A類型) |
収益力強化設備(B類型) |
デジタル化設備(C類型) |
要件 |
生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備 |
投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 |
遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備 |
確認者 |
工業会等 |
経済産業局 |
経済産業局 |
対象 設備 |
機械装置160万円以上 測定・検査工具30万円以上 器具備品30万円以上 建物附属設備60万円以上 ソフトウエア70万円以上 |
機械装置160万円以上 工具30万円以上 器具備品30万円以上 建物附属設備60万円以上 ソフトウエア70万円以上 |
機械装置160万円以上 工具30万円以上 器具備品30万円以上 建物附属設備60万円以上 ソフトウエア70万円以上 |
非該当 |
事務用器具備品、寄宿舎や福利厚生施設に係るもの、中古・貸付資産、国外投資に係るもの |
(1)制度の概要
「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、その認定事業者は、税制・金融・法務の各支援措置を受けることができます。
そのうち、中小企業経営強化税制は税制面の支援措置に位置付けられます。
(2)申請書の内容
以下の内容について、3枚の申請書様式に簡潔に記載の上、事業分野別の主務大臣に申請します。
①企業の概要
②現状認識
③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標
④経営力向上の内容
⑤(事業承継を行う場合のみ)事業承継等の時期及び内容
新型コロナウイルス感染拡大対策の影響で、工業会等の確認事務が遅延しているとの情報もありますので、前広な対応が望まれます。
また、「経営力向上計画」の申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。弊所も認定機関となっておりますので、お気軽にご相談下さい。(担当:竹内)