法人が新型コロナウイルス感染症に関連して、売上が減少するなどして資金繰りが困難となっている取引先等に対し、
その支援のために生じた費用や損失の額について、これまでの自然災害時における取扱いと同様に、
寄付金、交際費等に該当しないものとして取り扱うことができるかどうか疑義が生じていました。
そこで、4月13日、法人税基本通達および租税特別措置法通達が一部改正されました。
新型インフルエンザ等対策特別措置法の規定の適用を受ける新型インフルエンザ等(新型コロナウイルス感染症を含む)が
発生し、入国制限や外出自粛の要請など自己の責めに帰することのできない事情が生じたことにより、
売上の減少等に伴い資金繰りが困難となった取引先等に対する支援については
これまでの自然災害時における取扱いと同様に取り扱うことが明らかになりました。
ここでは「賃貸物件オーナーによる賃料の減額」を含む4点を紹介したいと思います。
法人が賃貸契約を締結している取引先等に対して賃料を減額したことに合理的な理由がなければ
減額前の賃料の額と減額後の賃料の額との差額については、
原則として、相手方に対して寄付金を支出したものとして取り扱われます。
しかし法人が行った賃料の減額が、次の①~③のすべての条件を満たすものであれば、
実質的には取引先等との取引条件の変更と考えられ、その減額した分の差額については、
寄付金の額に該当しないこととなります。
①取引先等において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、
事業継続が困難となったこと又は困難となるおそれが明らかであること
②法人が行う賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、
そのことが書面などにより確認できること
③賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、
相当の期間(通常の営業活動を再開するための普及過程にある期間をいう)内に行われたものであること
上記1.同様、原則的には寄付金を支出したものと取り扱われますが、
災害を受けた取引先等に対してその復旧を支援することを目的として、
災害発生後相当の期間内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これに準ずる債権の全部
又は一部を免除したことによる損失の額は、寄付金の額に該当しないこととなります。
法人が、取引先等に対して低利又は無利息による融資を行った場合は、
原則的には、本来支払われるべき利息相当額を受け取って寄付をしたものとして取り扱われます。
しかし法人が、災害を受けた取引先等に対して、当該融資が取引先の復旧を支援することを目的として
災害発生後相当の期間内に行われたものであるときは、当該融資は正常な取引条件に従って行われたものと
取り扱うこととなり、寄付金の額に該当しないこととなります。
法人が、取引先等に対して義援金、見舞金を支払った場合は、原則的には、交際費の額として取り扱われます。
しかし法人が、取引先等との被災前の取引関係の維持、回復を目的として交付するものである場合は
交際費の額に該当しないこととなります。
これらの取扱いの知識が取引先等、そして日本経済の復旧に少しでも繋がれば幸いです。
(担当:原)