会計・税務の知識

2020年05月29日 発行電子申告のすゝめ

はじめに

 

元号が平成から令和に代わってはじめての確定申告は、
申告期限が1ヵ月延長されて4月16日になりました。
確定申告においては毎年のようになんらかの変更がなされてきましたが、
それらのなかには、“電子申告しているから”というものも少なくありません。
今回は電子申告にかかる変更点等を紹介していきます。

 

 

1.個人の確定申告

 

令和元年分の確定申告では下記の書類について、申告時の書類添付が不要となりました。

(1)給与所得や退職所得、公的年金等の源泉徴収票

(2)オープン型投資信託の収益分配支払通知書

(3)配当等とみなす金額に関する支払通知書

(4)上場株式配当等の支払通知書

(5)特定口座年間取引報告書

(6)未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書

(7)特定割引債の償還金の支払通知書

 

これは、一度提出された情報を何度も提出する必要がないという考え方から
適用されることになったものです。
源泉徴収票などについては、多くの場合支払者から税務署等へ提出がされているため
確定申告での添付が不要となっています。

 

ほかにも、まだ先の話と思われるかもしれませんが、
令和2年分の確定申告(令和3年に申告するもの)についても、
基礎控除の引上げとそれに伴う青色申告特別控除の引下げなどが決まっています。

 

基礎控除額については現行の38万円から48万円に引き上げられますが、
併せて青色申告の特別控除額は現行の65万円から55万円に引き下げられます。

また、青色申告特別控除の要件を満たしている状態から
e-taxの電子申告または電子帳簿保存を行うことで、
特別控除額65万円を維持することができるようになります。

 

 

2.スマートフォンによる確定申告

 

スマートフォンによる確定申告についても、
平成30年までは給与所得者(1カ所)が医療費と寄付金による還付を受けるためにしか
利用できませんでしたが、令和元年分からは、2カ所以上の給与や年金、一時所得、
雑所得についてもスマートフォンを使った申告ができるようになりました。

 

スマートフォンによる申告の年度別比較

項目

平成30年
(2018年)分

令和元年
(2019年)分
収入 給与所得(1カ所) 給与所得(2カ所以上)
公的年金等、一時所得
その他雑所得
所得控除 医療費控除
寄付金控除
すべての所得控除
税額控除 政党寄付金等特別控除 政党寄付金等特別控除
災害減免額

くわえて、予定納税や財産債務調書もスマートフォンから申告できるようになっています。

 

 

3.相続税の電子申告

 

令和元年10月から相続税の電子申告が可能となりました。

これまでは被相続人からの印鑑による承認部分について紙による押印が必要なため、
相続税については紙による申告しかできない状態でしたが、
税理士が電子署名することにより法人税や個人の確定申告同様に
電子での提出が可能になりました。
これにより、被相続人が遠隔地にいる場合の押印に伴う時間を短縮することができます。

 

また、電子申告が可能になることで、付表や付属明細などの多岐にわたる資料を
電子データとして一元的に保管することが可能になります。

 

 

おわりに

 

今回は個人の確定申告と相続について電子申告を背景にした変更を中心に紹介してきました。
技術の進歩により、便利になっていくものについてはどんどん取り入れていきたいですね。

(担当:岩崎)

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