会計・税務の知識

2019年12月19日 発行所得税改正(令和2年分から適用開始)

はじめに

12月は令和元年の年末調整の手続きを行い、年が明けると、

いよいよ令和元年分の所得税確定申告のシーズンに入ります。

今回は来年の給与計算や確定申告に影響する、令和2年分から適用される所得税改正について

説明します。

 

 

1.給与所得控除 引下げ

給与所得控除が以下のように引き下げられます。

給与等収入金額 給与所得控除額
~令和元年 令和2年~
180万円以下 A×40%

(最低65万円)

A×40%

-10万円

(最低55万円)

180万円超

360万円以下

A×30%

+18万円

A×30%

+8万円

360万円超

660万円以下

A×20%

+54万円

A×20%

+44万円

660万円超

850万円以下

A×10%

+120万円

A×10%

+110万円

850万円超1,000万円以下 195万円

(上限)

※所得金額調整控除あり

1,000万円超 220万円

(上限)

(A:給与等収入金額)

控除額が10万円引下げられ、その上限額も最大25万円引下げられます。

 

 

2. 基礎控除 引上げ(所得に応じて逓減)

 

基礎控除が以下のように変わります。

合計所得金額 基礎控除額
~令和元年 令和2年~
2,400万円以下 38万円 48万円
2,400万円超

2,450万円以下

32万円
2,450万円超

2,500万円以下

16万円
2,500万円超 0円

控除額が10万円引き上げられますが、高所得者は反対に引下げられます。

 

 

3. 青色申告特別控除額 引下げ(一定の場合維持)

 

青色申告特別控除 ~令和元年 令和2年~
65万円(e-tax無) 65万円 55万円
65万円(e-tax有) 65万円 65万円
10万円 10万円 10万円

 

65万円の青色申告特別控除額は、電子申告又は電子帳簿保存を行っている場合は維持されますが、

いずれも行っていない場合は10万円引下げられます。

10万円の青色申告特別控除額に変更はありません。

 

 

4.扶養親族、配偶者の所得要件 引上げ(収入据置)

扶養控除や配偶者控除を受けるための扶養親族や配偶者の所得要件が以下のように変わります。

 

所得/収入 適用を受けるための要件
~令和元年 令和2年~
合計所得金額 38万円以下 48万円以下
給与収入(給与のみの場合) 103万円以下 103万円以下

 

所得の上限が10万円引上げられます。給与所得控除が10万円引下げられるため、

給与収入のみの場合の収入の上限は据え置かれます。

 

 

5.配偶者特別控除の所得要件 引上げ(収入据置)

 

配偶者特別控除を受けるための配偶者の所得要件が以下のように変わります。

 

所得/収入 適用を受けるための要件
~令和元年 令和2年~
合計所得金額 38万円超

123万円以下

48万円超

133万円以下

給与収入(給与のみの場合) 103万円超

201.6万円未満

103万円超

201.6万円未満

所得のレンジが10万円引上げられます。給与所得控除が10万円引下げられるため、

給与収入のみの場合の収入のレンジは据え置かれます。

 

 

6.勤労学生控除の所得要件 引上げ(収入据置)

 

本人が勤労学生である時の勤労学生控除を受けるための所得要件が

以下のように変わります。

 

所得/収入 適用を受けるための要件
~令和元年 令和2年~
合計所得金額 65万円以下 75万円以下
給与収入(給与のみの場合) 130万円以下 130万円以下

所得の上限が10万円引上げられます。給与所得控除が10万円引下げられるため、

給与収入のみの場合の収入の上限は据え置かれます。

 

 

おわりに

紙面の都合上割愛しましたが、他にも次のような改正があります。

公的年金等控除の引下げ/特定支出控除の対象となる支出の見直し/

所得金額調整控除の創設(担当:山田)

 

PAGETOP

お問い合わせ