会計・税務の知識

2019年12月12日 発行コア・コンピタンス分析について

はじめに

コア・コンピタンス理論とは、ハーバード・ビジネスレビューVol.68(1990年)に掲載された

「The Core Competence of the Corporation」の中で提唱された戦略論です。

 

この論文は、経営学者ゲイリー・ハメル氏と元ミシガン大学ビジネススクール教授の

C.K.プラハラード氏が共同で寄稿したもので、その中でコア・コンピタンスとは、

『顧客に対して、他社には真似のできない価値を提供することである』と説明しています。

 

 

1. コア・コンピタンスの3つの条件

コア・コンピタンスと呼ばれるには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

 

①  自社の利益を追求するだけではなく、顧客の利益に関しても追及し、

結果的に自社にとって長期的な利益をもたらすこと。

 

 

②  新しい製品・技術が他社には真似の出来ないものであり、市場における競争優位性を

一時的なものではなく、持続的に獲得するものであること。

 

 

③  自社の企業活動の中核としてきた技術が、市場の需要を失った場合でも、

他の分野・市場に応用が可能であること。

 

 

 

2. コア・コンピタンスを評価するための5つの特徴

コア・コンピタンスの3つの条件には、以下5つの特徴があります。

 

① 模倣可能性(Imitability)

他社にとって模倣することが難しい製品・技術であること。

 

 

② 移動可能性(Transferability)

自社の技術が様々な分野・製品に応用が可能であること。

 

 

③ 代替可能性(Substitutability)

他社の製品・技術では代替することが出来ないこと。

 

 

④ 希少性(Scarcity)

市場において、その技術が不足し、希少であること。

 

 

⑤ 耐久性(Durability)

長期間、市場の環境の変化にも耐えることが出来ること。

 

 

3.分析方法

 コア・コンピタンスを特定する簡便な手順を、両氏が実例として挙げている

本田技研工業株式会社をもとにご紹介致します。

 

 

① 手順

最終製品とその最終製品を構成するコアとなるパーツを洗い出します。

次にそのコアとなるパーツには、どのような他社には真似の出来ないような技術があるのかを

特定します。その技術等の価値がコア・コンピタンスとなります。

 

 

② 実例

本田技研工業株式会社を実例にすると、最終製品に自動車やバイク、

最終製品を構成するコアとしてエンジンやトランスミッション等が当てはまります。

そこから導き出されるコア・コンピタンスは、「低公害エンジン技術」や草刈り機や

除雪機までにも応用可能な「汎用性の高いエンジン技術」等が挙げられます。

なお、特定した技術がコアとなるパーツと複数の繋がりを持たないものは、

コア・コンピタンスとは言えません。

 

 

おわりに

コア・コンピタンス分析は、自社の分析だけではなく、

競合他社のコア・コンピタンスを分析することが出来ます。

その結果、他社の強みや弱みを知ることでき、戦略を優位に進めることが出来ます。

 

また、コア・コンピタンス分析の最も重要なことは、継続して実行し、

陳腐化させないことにあります。(担当:白土)

 

 

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