はじめに
年末調整の時期になりました。今回は、源泉徴収票の発行に誤りがないよう、計算方法を確認します。
パート・アルバイトに給与を支払う際に源泉徴収する税額は、一般の社員と同様に
「給与所得の源泉徴収税額表」によって求めます。
ただし、勤務した日数又は時間によって給与計算している場合や、
雇用契約の期間があらかじめ定められている場合などは社員と異なる税額欄で源泉徴収税額を求めます。
1. 源泉徴収税額表には以下の3種類があります。
①月額表
・月ごと・半月ごとに支払うもの
・月の整数倍の期間ごとに支払うもの
②日額表
日払・週払い・日雇賃金等
③賞与に対する源泉税額の算出率の表
パートやアルバイトに対する給与が時間給または日給を基準にして計算されている場合でも、
月に一度まとめて支払われる場合は月額表が適用されます。
2. 税額欄の種類
税額表には税額欄に甲欄・乙欄があり、日額表にはこれに加えて丙欄があります。
甲欄
・通常の給料・賃金
(扶養控除等申告書の提出が必須となります)
乙欄
・2か所以上から給与の支払いを受けている人で従たる給与の支払者が支払う給与
・扶養控除等申告書を提出していない人
丙欄
・日々雇い入れられる人に働いた日数や時間によって支払う賃金
3. 丙欄を使用する要件
あらかじめ定められた雇用期間が2か月以内のパート・アルバイトに対して
働いた日数や時間によって計算して支払う給与に対して適用されます。
ただし次の場合は丙欄を使用することはできません。
①当初から2か月を超えて雇用する場合、甲欄または乙欄を使用して源泉徴収税額を計算します。
②当初は雇用期間が2か月以内の予定がその後延長したため2か月を超えることとなった場合、
超える期間の給与については甲欄または乙欄を適用することになります。
4.パート・アルバイトの賞与
一般の社員と同様に「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用して源泉徴収税額を求め、
給与と同じように扶養控除等申告書の提出の有無により甲欄又は乙欄を使用します。
ただし、日額表の丙欄適用者に対して臨時の手当が支払われる場合は
「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使わずに通常の給与として日額表丙欄を使って
源泉徴収税額を計算します。
5. パート・アルバイトの年末調整
扶養控除等申告書を提出している場合は一般の社員と同様に年末調整をすることができます。
また、年の途中で退職した場合は通常であれば年末調整できませんが次の要件を満たすときは
年末調整ができます。
①退職した勤務先に扶養控除等申告書を提出していること
②本年中の給与の総額が103万円以下であること
③退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払いを受けない見込みであること
雇用形態 | 月給 | 日給・週給 | 日雇 | ||
使用する税額表 | 月額表 | 日額表 | |||
扶養控除等申告書の提出の有無 | 有 | 無 | 有 | 無 | 不要 |
税額欄 | 甲欄 | 乙欄 | 甲欄 | 乙欄 | 丙 |
おわりに
パート・アルバイトの給与に対する源泉徴収は、基本は一般社員と同様ですが、
日払い賃金に対しては契約期間の有無により税額欄が変わってくるなど、
扱いを注意しなければなりません。
また税制改正によって、国外居住親族に係る扶養控除の適用に追加書類が必要になったり、
令和2年から所得金額調整控除が創設されるなど源泉徴収事務がより煩雑になっているため
慎重な対応が必要になります。(吉原)