会計・税務の知識

2018年03月15日 発行税務署の情報収集力(お尋ね[2])

はじめに

前回は、税務署の情報収集方法として、「お尋ね」のうち、「海外送金等に関するお尋ね」を紹介しました。今回は「消費税還付申告の内容についてのお尋ね」について概説します。

 

 

1.どのような場合に消費税が還付になるか?

消費税は商品や製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、

消費者が負担し事業者が納付します。納付額を計算するにあたり「預かった消費税」から

「支払った消費税」を差し引いた残りを納付することになります。多くの場合、

「預かった消費税」>「支払った消費税」となり、差額を税務署に納付することになりますが、

事業の特性や当期の状況によっては「預かった消費税」<「支払った消費税」となることもあり、

その場合には税務署から消費税が還付されることになります。

消費税が還付となる代表的なケースとしては不動産の購入や設備投資などの資産を購入した場合、

輸出売上(免税取引)が多い場合、仕入れや経費が多い場合などです。

 

 

2.お尋ねの内容(消費税還付申告の内容について)

貴社におかれましては、日頃から税務行政にご協力いただき感謝申し上げます。

さて、貴社の自平成○年○月○日至平成○月○日課税期間の消費税確定申告は還付申告となっており、「消費税の還付申告に関する明細書」の記載内容のうち、下記の項目について、別紙「消費税還付申告の内容について(回答)」に所要の事項を記載いただき、○月○日(およそ2週間)までに回答いただきますようお願いいたします。

また回答にあたりまして、下記の書類のほか、消費税の計算過程を確認できる書類(消費税の計算書・試算表等、勘定科目別に課税・非課税・不課税の判定を行った書類)及び一連の取引内容が確認できる書類の添付をあわせてお願いいたします。

 

□主な輸出取引等の明細

上位  社について(  )分
輸出関係

□輸出許可通知書・インボイス

□上記輸出売上代金の決済関係書類

□契約書(役務提供・無形固定資産の場合)

□その他(      )

左記輸出に関する仕入関係

□請求書

□契約書

□仕入代金の決済関係書類

□その他(      )

 

□主な固定資産等の取得

取引金額上位   位
□契約書        □請求書

□不動産登記簿(建物の場合)

□取得資産の用途が確認できる書類

□その他(決済関係書類、引渡確認書類)

 

□主な棚卸資産・原材料等の仕入れ

取引金額上位   位
□契約書        □請求書

□輸入許可通知書・インボイス

□仕入代金の決済関係書類

□その他(             )

 

「お尋ね」は法律で定められたものではないため、

各税務署により文言や回答の仕方が異なります。

 

 

3.どうやって把握したのか?

「消費税還付申告の内容についてのお尋ね」は税務署に提出された消費税の確定申告書が

還付申告となっており、還付金額が一定の額を超えた場合に税務署から送られてくる仕組みになっているようです。

国税庁レポート2017によると、消費税の申告297万件(個人・法人)のうち、

還付申告は16万件(平成27年度)となっており、税額にして3.6兆円が還付されているようです。

消費税が還付申告となる場合には申告書に加え、「消費税の還付申告に関する明細書」を添付して

提出します。

明細書には、還付となった理由や主な取引先、輸出取引の相手、

仕入れや諸経費の内容等を記載することになりますが、「お尋ね」ではさらに、

契約書や証憑類などの提出が求められることになります。

 

 

おわりに

税務署から「お尋ね」が届いた場合には、同封されている回答書や関連する書類

(契約書や明細書)を添付の上速やかに回答し、何も問題がないことを説明できれば

税務調査などに発展せず解決することが多いです。

今回は「消費税還付申告の内容についてのお尋ね」をご紹介しましたが、

その他にも数十種類のお尋ねがあります。随時ご紹介したいと思います。(担当:齋藤)

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