会計・税務の知識

2018年04月05日 発行備えて、得して

はじめに

国の機関である中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営している制度で、

経営セーフティ共済、小規模共済という制度があります。将来の危険に備えるだけではなく

税制面でもメリットがある制度ですのでご紹介します。

 

(出展:中小機構HP) http://www.smrj.go.jp

 

 

1.経営セーフティ共済

経営セーフティ共済とは取引先が倒産した際に、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための

制度であり、無担保、無保証人で掛金の10倍(上限8,000万円)まで

借り入れすることができる制度です。

 

①加入資格

継続して1年以上事業を行なっている中小企業者で主な加入資格は、

次の業種に応じ「資本金の額又は出資金の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかに該当するものとなります。

 

業種 資本金の額又は 常時使用する
出資金の総額 従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 3億円以下 300人以下

 

②掛金

掛金は月額5,000円から20万円までの範囲(5,000円単位)で自由に選ぶことができ、

総額800万円まで積み立てることができます。

税務上、掛金は法人の場合は損金、個人事業者の場合は必要経費に算入することができます。

(個人事業者の場合は事業所得以外の所得では必要経費として算入することができません)

 

 

③共済金の借入れ

法的整理、手形交換所の取引停止処分、私的整理などにより売掛金等の回収が困難になった場合には被害額と掛金総額の10倍相当額のいずれか少ない金額を無利子で借り入れすることができます。

ただし、借入後は借入金の10分の1相当額が掛金から控除されます。

 

 

 

2.小規模企業共済 

小規模企業の役員や個人事業主などのための退職金制度です。2017年3月現在では全国で133万人の方が加入しています。

 

①加入資格

主な加入資格は次の通りです。

(イ)建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、

農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員

 

(ロ)商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、

常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員

 

 

②掛金

掛金については毎月1,000円から70,000円の範囲内(500円単位)で自由に選択ができます。

掛金は、年末調整や確定申告において全額を所得控除として控除することができます。

 

 

③共済金

共済金の請求は個人事業を廃業した場合、65歳以上で法人の役員を退任した場合、

共済契約者が死亡した場合などにより行なうことができます。また任意に解約した場合には解約手当金を受取ることができます。

この場合、共済金等の受取り時の年齢や受取方法により税務上の取扱いが異なります。

受取方法 税務上の取扱い
共済金を一括で受取る場合 退職所得
共済金を分割で受取る場合 雑所得(公的年金等)
共済金を一括・分割併用で受取る場合 一括分:退職所得
分割分:雑所得(公的年金等)
遺族が共済金を受取る場合(死亡退職金) 相続税(みなし相続財産)
65歳以上の方が任意解約する場合 退職所得
65歳未満の方が任意解約する場合 一時所得

 

④貸付制度

資金が必要になった場合は、掛金の納付期間に応じた貸付限度額の範囲内で

貸付を受けることができます。低金利での貸付けが可能です。(担当:佐藤敬)

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