1.はじめに
キャズム理論とは、エベレット・M・ロージャスが提唱したイノベーター理論におけるアーリーアダプターと、アーリーマジョリティの間に、深い溝(キャズム)があるとする理論を言います。
2.イノベーター理論
イノベーター理論とは、新製品や新サービスが市場に浸透していくまでの時間経過を示したもので、消費者のニーズを5つに分類します。
3.イノベーター理論の5つの分類
① イノベーター … 常に新製品・新技術に興味を持ち、最も早い段階で購入する消費者層。
② アーリーアダプター … 新製品・流行に敏感で、自ら判断し購入する消費者層。
③ アーリーマジョリティ … 新製品に慎重で、価格と品質を重視する消費者層。
④ レイトマジョリティ … 周囲の人々が使用している事実を得てから行動する消費者層。
⑤ ラガート … 最も保守的で、新製品に興味が薄い消費者層。
4.イノベーター理論にキャズム(深い溝)ができる理由
キャズム理論では、イノベーター理論のアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に深い溝があるとされています。その理由は、アーリーアダプターまでの初期市場とアーリーマジョリティ以降の主流市場では、消費者の新しい製品に求める考え方が異なるためです。アーリーアダプターまでの初期市場は、製品の価格などよりもその製品の革新的な技術を重視します。一方、アーリーマジョリティ以降の主流市場では、製品の価格と品質を重視します。よって、2つの市場の異なる価値観から深い溝が形成されます。
5.キャズム理論とイノベーター理論の市場へのアプローチの違い
通説とされてきたイノベーター理論は、新製品の市場浸透のためにはアーリーアダプターまでの初期市場を最重要市場としていました。しかし、キャズム理論では、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの価値観の違いから、新製品や新サービスを市場に投入したとしても、アーリーアダプターとアーリーマジョリティへの適切なマーケティングがなければ成熟期を迎えることなく初期市場で消えて行くこととされています。
6.おわりに
今回はキャズム理論を取り上げました。キャズム理論は、特に技術革新の激しい業界に有用な理論の一つになるかと思われます。(担当:白土)