はじめに
経済のグローバル化が一層進む現代ビジネスシーンにおいて、貿易取引は切っても切れない関係になっています。
今回は貿易取引に付随して発生する税金について解説します。
1.輸入品と税金
輸入品に課される税金には、代表的なものとして関税と消費税(国税と地方消費税)の2つの税金があります。
関税は課税対象物品の取得原価に算入され、最終的には費用化されます。一方消費税は「課税貨物に係る消費税」として消費税法上、仕入れ税額控除の対象になります。
2.輸入品の引き取り手続き
輸入品を保税地域から引き取ろうとする者は、原則として、品名、数量、金額等と関税や消費税の金額などを記載した輸入申告書を保税地域を所轄する税関長に提出し、輸入申告を行い、輸入品を引き取る時までに関税と消費税を納付する必要があります。
あらかじめ税関長の承認を受けた特例輸入者または輸入通関の手続きを認定通関業者に委託した特例委託輸入者は貨物を引き取った後に関税と消費税を納付することができます。
また、税関長に納期限の延長についての申請書を提出し、担保を提供すれば、担保の額の範囲内の消費税額について、最長3か月間の納期限の延長が認められます。
3.税額の計算
①関税
原則として輸入申告時の貨物の価格または数量を課税標準とします。課税標準が価格によるものを従価税品、数量によるものを従量税品といい、この課税標準額に対して、品目毎に規定された関税率を乗じた金額が課税される関税の額となります。ただし、現在は関税率0%の品目も多く、その場合関税は課税されません。
②輸入消費税
消費税(8%)は、内国消費税(6.3%)と地方消費税(1.7%)に分けられます。
内国消費税(6.3%)は、輸入申告書に記載された課税標準額であるCIF価格※(端数処理前)と関税の合計(千円未満切り捨て)に対して課税されます(100円未満切り捨て)。
地方消費税(1.7%)は、内国消費税額に17/63を乗じた額(100円未満切捨て)となります 。
※CIF価格とは卸売価格に運賃、保険料、その他加算要素を加算した合計額です。
4.通関業者から輸入者に対する請求書
輸入が発生すると、通関業者から輸入者に対して請求書が発行されることがあります。
その請求内容は下記のとおりです。
①通関業者が税関に対し、輸入者の代わりに立替払いをした税金
②輸入にかかった諸費用
輸入貨物を保税地域から引き取るには、税関に税額を納めることが前提となりますので、通関業者が輸入者に代わって税金の立替払いを行っています。
5.輸入事後調査
税関による税務調査のことであり、輸入された貨物に係る納税申告が適正に行われているか否かを事後的に確認し、不適正な申告はこれを是正するとともに、輸入者に対する適切な申告指導を行うことにより、適正な課税を確保することを目的として実施されます。
6.免税適用
課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については一定の場合を除き、その関税及び消費税が免税されます。
おわりに
インターネットの普及により、個人輸入を行う人も増えていると聞きます。1万円ルールを上手く活用し、良い物を手に入れることに挑戦してみてはいかがでしょうか。(担当:菅原)