会計・税務の知識

2018年06月21日 発行バランスト・スコアカード作成手順について

はじめに

バランスト・スコアカードとは、企業目標の達成のための4つの視点(財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点)から構成される業務評価システムです。今回は、バランスト・スコアカードの作成を以下の6つの手順に沿って解説します。

 

[バランスト・スコアカードの例]

 

 

1.経営ビジョンの明確化と3C分析

経営ビジョンは、企業の具体的な将来像であり、その策定は経営戦略の前提となるものです。その際に重要なことは、企業の外部環境と内部環境を正確に把握することであり、3C分析と言う手法が有効と考えられます。

3C分析とは、①顧客ニーズの変化(Customer)、②競合他社の動向(Competitor)、③自社の成功要因(Company)を分析して評価し、自社の取り巻く環境を正確に把握することで、経営ビジョンをより明確化することで事業の成功要因を導くものとなります。

 

 

2.戦略の検討とSWOT分析

上記のビジョン実現のための戦略の検討として、一般的にSWOT分析が用いられます。SWOT分析とは、企業の内部環境を「強み」と「弱み」、外部環境を「機会」と「脅威」と大きく4つに分類して分析を行います。

①強み(Strength)…自社の強みを事業機会に活かし、さらに自社の強みを高めるための手段の洗い出すこと

②弱み(Weakness)…自社の弱みを克服するための手段を洗い出すこと

③機会(Opportunity)…目標達成のための市場の変化や政策などを洗い出すこと

④脅威(Threat)…目標の達成の障害になる市場の変化や政策などを洗い出すこと

※なお、SWOT分析の分析結果の精度を高める

ためには、4つの分類でクロス分析が必要となります。

 

 

3.4つの視点と戦略マップの作成

上記で検討した戦略実現のため、以下の4つの視点を決定し、各視点それぞれに具体的な戦略目標を設定し、戦略マップを作成します。

①財務の視点…4つの視点の最上位概念で、目標達成のために財務状況に関してどのように改善すればよいのかを表したもの

②顧客の視点…財務の視点の目標を達成するために、顧客に対してどのように改善すればよいのかを表したもの

③業務プロセスの視点…財務の視点や顧客の視点の目標達成のために、業務プロセスをどのように改善すればよいのかを表したもの

④学習と成長の視点…業務プロセスを達成するために、従業員の能力がどのように向上すればよいのかを表したもの

 

 

4.重要成功要因と業績評価指標の決定

戦略目標を達成するための実現可能な重要成功要因を決定し、その重要成功要因ごとに業務評価指標を決定します。特に業績評価指標で重要となるのは、経営ビジョン、重要成功要因やアクションプランなどの整合性や関係性を十分考慮し、重要度をもとにウェイト付けを行うことにあります。

 

 

5.アクションプランの作成

従業員一人一人に具体的な数値目標を設定し、従業員のモチベーションを高め、管理できるようなアクションプランを作成します。

 

 

6.評価とブラッシュアップ

現在の業務評価指標の達成が戦略目標の達成や経営ビジョンや重要成功要因と合致したものか評価し、その結果に基づきブラッシュアップを行います。

 

 

おわりに

現在の成熟した市場で売上や利益を上げていくことは非常に難しくなってきており、経営の最適化が求められています。そこで一つの指標としてバランスト・スコアカードを用いてみるのも良いかもしれません。(担当:白土)

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