会計・税務の知識

2018年07月12日 発行特例事業承継税制

はじめに 非上場会社の株式等を次の世代へ承継する際に適用可能な「事業承継税制」について、平成30年の税制改正により、従来の税制に加えてより使いやすく、かつ、税負担も少なくて済む制度が追加されました。従来の税制を「一般措置」、追加された税制を「特例措置」として両者を比較しながら紹介します。

 

(出典:国税庁「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし」)

 

1.まず、適用期限について、一般措置には期限がありませんが、特例措置は2027年(平成39年)12月31日までに行った贈与や発生した相続についてのみ適用可能です。

 

 

2.次に事前の手続について、特例措置を受ける場合は承継後5年間の事業計画等を記載した「特例承継計画」を都道府県庁に提出します。提出期限は2023年(平成35年)3月31日で適用期限よりも早いので注意が必要です。一般措置を受ける場合は提出不要です。

 

 

3.適用可能な株式数について、一般措置では発行株式数の3分の2までですが、特例措置はすべての株式に適用可能です。

 

 

4.発生する税金の納税猶予・免除の割合について、一般措置では贈与の時には100%猶予されるものの、相続時には80%しか猶予されず、20%は納付する必要があります。全株式を承継する場合、80%×3分の2の53%しか猶予されません。特例措置では相続時でも100%の猶予を受けられます。

 

 

5.後継者の人数について、一般措置では後継者として1名しか選定できませんが、特例措置では最大で3名まで選定可能です。

 

 

6.納税猶予の継続要件として、一般措置では承継後5年間で非上場会社の雇用人数を平均で8割維持できなければ猶予されていた税金と利子税を納める必要があります。特例措置では平均8割を維持できなくても所定の書類を提出すれば猶予を継続できます。

 

 

7.特例措置では、過去2年以上赤字の場合など事業継続が困難な場合に非上場株式等を譲渡した場合は、譲渡対価を基に再計算した相続(贈与)税額等と猶予されていた税額の差額は免除されます。一般措置ではこのような制度はありません。

 

 

8.贈与に関する相続時精算課税の適用について、一般措置では先代経営者の推定相続人か孫のみ適用可能ですが、特例措置では年齢以外の制約はありません。

 

 

おわりに 多くの優遇措置がある特例措置は10年間の期限付きですので、早めの着手が不可欠です。詳細は当事務所までお問合わせください。(担当:山田)

 

 

 

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