はじめに
平成30年12月21日に平成31年度税制改正大綱が閣議決定されました。
NISA制度について、利便性の向上を目的とした改正があり、NISA・ジュニアNISA制度について、民法改正に伴う改正の見込みがありますのでご案内いたします。
1.一時出国の場合の非課税措置の継続(NISA)
(1)改正前の制度では、NISA口座を開設している居住者等が出国により居住者等に該当しなくなる場合、NISA口座内で保有している商品は課税口座へ払い出され、帰国後においてもNISA口座へ戻すことはできないものとされていました。
改正後は、海外転勤等による一時的な出国により居住者等にしなくなる場合は、その出国の日の前日までに継続適用届出書(注1)を提出することで、その出国の時から以下のいずれか早い日までの間、継続して非課税措置を受けられることになります。
イ 帰国届出書(注2)を提出する日
ロ 継続適用届出書を提出した日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日
(注1)給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をする旨、引き続き非課税措置の適用を受けようとする旨、帰国をした後再び当該NISA口座において上場株式等の受入れを行う旨、等の事項を記載し、当該NISA口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に提出する書類
(注2)帰国をした年月日、当該NISA口座において再び上場株式等の受入れを行わせようとする旨、等の事項を記載し、当該NISA口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に提出する書類
(ご参考)改正イメージ
(出典:金融庁「平成31年度税制改正要望項目」)
なお、帰国届出書を提出する日までは、非課税口座に上場株式等を受け入れることができません。
(2)継続適用届出書を提出した者が、継続適用届出書を提出した日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日(上記(1)ロ)までに帰国届出書を提出しなかった場合には、同日においてその者が非課税口座廃止届出書を提出したものとみなされます。
(3)その出国について、国外転出をする場合の譲渡所得等の課税の特例(国外転出時課税制度)の対象となる者については、継続適用届出書を提出できないものとされています。従って、改正前と同様に非課税措置の継続はできません。
2.口座開設の年齢要件の引き下げ(NISA・ジュニアNISA)
民法改正による成人年齢の引き下げに合わせ、NISA口座及びジュニアNISA口座の開設できる年齢要件が以下のとおり引き下げられます。
口座 | 年齢要件 |
NISA | その年の1月1日において18歳以上(現行:20歳以上) |
ジュニアNISA | その年の1月1日において18歳未満(現行:20歳未満) |
上記改正は、2023(平成35)年1月1日以後に設けられるNISA口座、ジュニアNISA口座について適用されます。なお、成人年齢の引き下げに関する民法改正の施行日は2022(平成34)年4月1日となります。
おわりに
余談ですが、今年の干支である亥(イノシシ)年の投資格言は「固まる」だそうです。単に相場が動かないという意味ではなく、上値に向けて下値を固めていく年、という意味があるそうです。
相場のことはわかりませんが、私自身の目標として将来の飛躍に向けた足固めの年となるよう精進したいと思います。 (担当:大山)