はじめに
平成20年に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されて以降、一般社団法人・財団法人(以下、一般法人等)の設立が簡便化されたこともあり、新規設立数は年々増加傾向にあります。
現在、一般法人等については株式会社等と同様に、所定の要件を満たせば誰にでも設立することができます。
そこで今回は一般法人等の分類及び法人税法を中心に税務上の取り扱いについてご紹介いたします。
1.一般法人等の分類
公益認定法上は公益認定を受けている公益法人等と公益認定を受けていない一般法人等の2つに分類されます。
一方、法人税法上は公益認定を受けていない一般法人等をさらに非営利型法人とそれ以外の2つに分類します。
公益認定法上の分類 | 公益認定
を受けた法人 |
公益認定を受けて
いない一般法人等 |
|
法人税法上
の分類 |
公益法人 | 非営利型法人 | 非営利型法人以外 |
公益法人等 | 普通法人 |
2. 非営利型法人とは
公益認定を受けていない一般法人等のうち、非営利型法人の要件を満たした一般法人等は非営利型法人に該当することとなります。非営利型法人には、①非営利性が徹底された法人と、②共益的活動を目的とする法人の2種類があります。そのうち、非営利性が徹底された法人の要件として以下の4つがあります。
1. | 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること |
2. | 解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること |
3. | 上記1、2の定款の定めに違反する行為を行うことを決定し、または行ったことがないこと |
4. | 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が3分の1以下であること |
なお、②共益的活動を目的とする法人の場合は上記4要件に加えてさらに3要件が必要となります。
3. 法人税法上の課税範囲の比較
法人税法上の法人の分類別の課税範囲は以下のようになります。
法人税法上の分類 | 課税範囲 |
公益法人※1、非営利型法人(公益法人等) | 収益事業 |
普通法人※2 | 全所得 |
公益法人、非営利型法人(以下、公益法人等)については収益事業から生じた所得のみ法人税の課税対象となります。
収益事業とは販売業、製造業その他の政令で定める事業で34業種が列挙されています。これらを継続して、事業所を設けて営む場合には法人税の課税対象となります。
※1 公益法人の公益目的事業から生じた所得は、収益事業であっても課税対象とはなりません。
※2 普通法人は、株式会社等と同じく全所得に対して法人税が課税されます。
4.非営利型法人の申告手続きについて
(1)法人税等の取り扱い
公益法人等が法人税法上の収益事業を行っていない場合には法人税の申告書の提出は必要ありません。ただし、法人住民税の一種である均等割(毎期固定的に発生する税金)については原則免除されませんので(東京都の公益法人の場合、知事が認めるものについては免除される場合があります)、均等割については申告・納付が必要となります。
収益事業を行っていない場合の均等割の申告・納付期限は、法人の決算月に関わらず4月末となります。
(2)消費税の取り扱い
法人税等が課税されない場合であっても、その事業が消費税の課税対象取引である場合には消費税が課税されることとなります。そのため、消費税の課税事業者に該当する場合には消費税の申告・納付義務があります。
おわりに
法人の形態によって税務上の取り扱いが異なりますので、法人形態を選択する際は税務上の取り扱いについても留意をする必要があります。(担当:長澤)