表:GDPの年間推移 内閣府HP[http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html]をもとに、筆者作成
※1994年以前は集計方法が異なるため掲載していません。
はじめに
2018年10月16日、安倍首相は過去2回にわたって増税時期を延期してきた消費税について、2019年10月からの増税を断行すると発表しました。景気の不透明性などを理由にこのままの増税を危ぶむ声もあるなか、駆け込み需要目的のムリな事業展開と、増税後の消費の冷え込みが懸念されています。
本稿では、GDPの推移を基にこれまでの消費税増税後の景況に触れながら、来年秋に控えたさらなる消費税増税について考察していきます。
1.GDPの年間推移
GDPは「Gross(総計)Domestic(国内の) Product(生産)」の略で国内総生産と訳されます。前掲の表は1995年以降のGDPの年間推移です。
一口にGDPといっても複数の項目から成り立っており、国の支出や輸出入、企業支出や家計支出と項目は様々です。
表では価格変動を加味しない単純な生産量による集計(実質GDP)と、その内訳として輸出、家計消費をグラフ化しています。破線の家計消費は個人の消費を示しており、日本のGDPの60%を占めています。実線の実質GDPは、家計消費の動向に引っ張られるように近い値を示していますが、点線で示した輸出消費が大きな上下動をしていても、全体のGDPへの影響はそれほど大きなものではありません。
2.GDPと家計消費
過去の消費税増税後にも家計消費が下がり、全体のGDPが押し下げられていることがわかります。それに対して相対的に輸出は増えていることから、全体的な消費の減少を若干ながら軽減しています。
また、個人の消費は生活に直結していることもあり、一時的に下がったとしても1年程度で反発して元の値に戻っていることがわかります。
おわりに
来年秋に控えた消費税の増税では、食料品などを対象にした段階税率の導入が予定されています。家計消費の減少を抑制し、消費を安定させることが目的です。一方で、消費税増税をある程度強硬的に進めたとしても、家計消費の減少が一時的なことだということもわかっていますので、冒頭のとおり、積極的な姿勢が伝わってきます。
消費する側の私たちも、消費税の増税や軽減税率について知識を深めておくなど、しっかりと準備したうえで増税の日を迎えられるといいですね。(担当:岩崎)