平成30年12月14日、自由民主党及び公明党による平成31年度税制改正大綱が公表されました。
これまで経済再生を優先して実施してきた政策効果が得られている今こそ、財政健全化を確実に進めるとして、
消費税は、来年10月に予定通り確実に10%へ引き上げ、一方で軽減税率制度も実施するとしています。
所得税においては、消費税引き上げに伴い住宅ローン控除制度の延長・拡充等がなされます。
法人税については、イノベーション促進のための研究開発税制の見直し、中小企業による設備投資支援のための制度の見直し・延長等がなされます。
資産税については、個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度が創設され、民法改正に伴う配偶者居住権の評価方法や成人年齢引き下げに伴う各種制度の見直しがなされています。各改正の適用時期については注意が必要です。
その他、車体課税の大幅な見直し、地方創生、経済活動の国際化・多様化への対応の観点からも様々な措置が盛り込まれています。
以下では、速報版として主要な改正にかかる要約をご紹介いたします(全12ページ)。
詳細はこちらでご確認頂けます。(https://www.jimin.jp/news/policy/138664.html)
〔個人所得課税〕
税目 | 項 目 | 改正内容 | 適用期限 |
所得税 | NISA | 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次のとおりとする。
(1) 非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しなくなる場合の特例措置を次のとおり講ずる。 ① 当該居住者等がその出国の日の前日までに継続届出書を提出したときは、その出国の時から以下のいずれか早い日までの間は、その者を居住者等に該当する者とみなして、本措置を引き続き適用する。 イ 帰国届出書を提出する日 ロ 継続届出書を提出した日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日 ② 継続届出書を提出した者が、上記①ロまでに帰国届出書を提出しなかった場合には、同日においてその者が非課税口座廃止届出書を提出したものとみなす。 ③ その出国につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の課税の特例の対象となる者は、継続届出書の提出をすることができないものとする。 (2)居住者等が非課税口座を開設することができる年齢要件をその年の1月1日において18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。 (3)その他、非課税口座内上場株式等移管依頼書等の一定の書類の提出に代えて行う電磁的記録の提供の際の本人確認の方法や、非課税口座に設けられている勘定の変更方法等、所要の措置を講ずる。 |
(2)については、平成35年1月1日以後に設けられる非課税口座について適用するとともに、所要の経過措置を講ずる |
所得税 | ジュニアNISA | 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)について、次のとおりとする。
(1)居住者等が未成年者口座の開設並びに非課税管理勘定及び継続管理勘定の設定をすることができる年齢要件をその年の1月1日において18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げる。 (2)その他、未成年者口座内上場株式等移管依頼書等の一定の書類の提出に代えて行う電磁的記録の提供の際の本人確認の方法等、所要の措置を講ずる。 |
(1)については、平成35年1月1日以後に設けられる未成年口座等について適用するとともに、所要の経過措置を講ずる |
所得税 | 上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例、及び、信託財産に係る利子等の課税の特例について | 上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例について以下(1)(2)(3)(5)のとおりとし、信託財産に係る利子等の課税の特例について、以下(1)(2)(4)(5)のとおりとする。
(1)集団投資信託の収益の分配(に係る上場株式等の配当等)に係る源泉徴収税額から控除することとされているその信託財産について納付した所得税及び外国所得税の額(のうちその集団投資信託の収益の分配に対応する部分)の金額の計算については、その集団投資信託の収益から利益調整金のみに係るものを除いて行うこととする。 (2)受益権を他の証券投資信託の受託者に取得させることを目的とする証券投資信託の範囲に、その受益権を表示する受益証券が発行されていないもののうち当該受益権の譲渡が制限されているものを加える。 (3)支払の取扱者は、上場株式等の配当等に係る所得税の額からその上場株式等の配当等に係る外国所得税に相当する金額等を控除した場合には、その金額等を控除したことを証する書類等をその控除した日の属する年の翌年から7年間、納税地に保存しなければならないこととする。 (4)集団投資信託の収益の分配の支払を受けた者が確定申告書に記載する源泉徴収税額から控除する外国所得税の額は、その者に係る収益の分配に係る所得税の額にその信託財産の外貨建資産への運用割合を乗じた額を限度とする。 (5)その他所要の措置を講ずる。 |
平成32年1月1日以後に支払われる上場株式等の配当等及び収益の分配 |
住民税 | 森林環境税(仮称)の創設 | 森林環境税(仮称)を創設する。
イ 納税義務者等 国内に住所を有する個人 ロ 税率 年額1,000円 ハ 賦課徴収 市町村にて個人住民税と併せて行う |
平成36年度から課税 |
住民税 | 森林環境譲与税(仮称)の創設 | 森林環境税の収入額に相当する額を市町村及び都道府県に配分する。 | 平成31年度から適用。但し、平成31年度から平成35年度までの間は、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金をもって充てる。 |
所得税
住民税 |
未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金(仮称)の非課税 | 未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金(仮称)として給付される給付金については、所得税・個人住民税を課さないこととする。 | ― |
所得税
|
政党等寄附金の寄附金控除又は特別控除の特例の期限延長 | 政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除の適用期限を5年延長する。 | 平成36年12月31日まで |
所得税
住民税 |
仮想通貨の取得価額の算出方法の明文化 | 個人が保有する資金決済に関する法律に規定する仮想通貨について、所得金額計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定基礎となる期末において有する仮想通貨の価額は、移動平均法又は総平均法により算出するものとし、所要の措置を講ずる。 | ― |
住民税 | 個人住民税における寄附金税額控除の見直し | ふるさと納税の対象は、次の基準に適合する都道府県等を指定する。
① 寄附金の募集を適正に実施する都道府県等 ② ①の都道府県等で返礼品を送付する場合は、以下のいずれも満たす都道府県等 イ 返礼品の返礼割合を3割以下とすること ロ 返礼品を地場産品とすること |
平成31年6月1日以後支出寄付金から適用 |
住民税 | 子どもの貧困に対応するための個人住民税の非課税措置 | 児童扶養手当の支給を受けている児童の父又は母のうち、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者(これらの者の前年の合計所得金額が135万円以下の者に限る)を、個人住民税の非課税措置の対象に加えるものとし、所要の措置を講ずる。 | 平成33年度分から適用 |
国民健康保険税 | 基礎課税額の限度額引上げ及び軽減基準所得の引上げ | <基礎課税額>
限度額を61.0万円(現行58.0万円)に引上げ <軽減基準所得> (1)5割軽減となる世帯の判定基準所得 28.0万円(現行27.5万円)×被保険者数 (2)2割軽減となる世帯の判定基準所得 51.0万円(現行50.0万円)×被保険者数 |
― |
所得税
住民税 |
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設 | 個人が住宅の取得等(消費税等の税率が10%である場合に限る)をして、その者の居住の用に供した場合について、所得税額の特別控除の特例を創設する。
適用年の1年目から10年目は現行の住宅借入金等特別控除を受けたうえで、11年目から13年目までの各年の住宅借入金等特別控除税額を次に定める金額として所得税額の特別控除の適用ができることとする。所得税額から控除をした残額があるものについては、翌年度の個人住民税において一定の範囲内で減額をする。 (1)一般の住宅の場合(いずれか少ない金額) ①借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1% ②[住宅の取得等の対価の額-対価の額に含まれる消費税額等](4,000万円を限度)×2%÷3 (2)認定長期優良住宅等の場合(いずれか少ない金額) ①借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1% ②[住宅の取得等の対価の額-対価の額に含まれる消費税額等](5,000万円を限度)×2%÷3 |
平成31年10月1日から平成32年12月31日までに居住の用に供した場合 |
所得税
住民税 |
被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例の見直し及び延長 | 老人ホーム等に入所をしたことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等は、次に掲げる要件その他一定の要件を満たす場合に限り、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の適用をすることができる。
①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定を受け、かつ、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと ②被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続開始直前まで、その家屋についてその者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されたことがないこと。 |
平成31年4月1日以後に行う譲渡から適用するとともに、本特例の適用期限を4年延長する。 |
所得税
住民税 |
特定の取締役等に係るストックオプション税制の見直し | 中小企業等経営強化法の改正を前提に、特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)について、次の措置を講ずる。
(1)適用対象者の範囲に、同法に規定する認定新規中小企業者等(仮称)が同法の認定を受けた同法に規定する新事業分野開拓計画(仮称)に従って活用する取締役及び使用人以外の者(一定の期間居住者である等の要件を満たす者に限る。以下「特定事業者」という)を加える。 (2)特定事業者が本特例の適用を受けて取得をした株式を相続等により取得をした個人は、承継特例適用者に該当しないこととする。 (3)特定事業者が、本特例の適用を受けて取得をした株式を譲渡等するまでに国外転出をする場合には、当該国外転出の時に、当該株式に係る新株予約権の行使の日における当該株式の価額に相当する金額により当該株式の譲渡があったものとみなして、所得税を課する。 |
― |
〔法人課税〕
税目 | 項 目 | 改正内容 | 適用期限 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税
法人税 所得税
法人税 所得税 地方税
|
(研究開発税制)
試験研究費の総額に係る税額控除制度 |
(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度について、税額控除率を次のとおり見直す。
① 増減試験研究費割合が8%超 9.9%+(増減試験研究費割合-8%)×0.3 (10%を上限) ② 増減試験研究費割合が8%以下 9.9%-(8%-増減試験研究費割合)×0.175 (6%を下限) 研究開発を行う一定のベンチャー企業(注1)の控除税額の上限を当期の法人税額の 40%(現行:25%)に引き上げる。 (注1)上記の「研究開発を行う一定のベンチャー企業」とは、設立後10年以内の法人のうち当期において翌期繰越欠損金額を有するもの(大法人の子会社等を除く。)をいう。 (2)試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税額の上限の上乗せ特例について、次のとおり改組し、その適用期限を2年延長する。 ① 試験研究費の総額に係る税額控除制度における控除税額の上限(当期の法人税額の 25%又は 40%)に、当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%を上限とする。)を乗じて計算した金額を上乗せする。 ② 試験研究費の総額に係る税額控除制度における税額控除率を、上記(1)①及び②により算出した率に、その算出した率に控除割増率を乗じて計算した率を加算した率とする(小数点以下3位未満の端数は切捨て)。 (注)上記の「控除割増率」とは、試験研究費割合から10%を控除した割合に0.5を乗じた割合(10%を上限とする。)をいう。 (3)試験研究費の総額に係る税額控除制度の税額控除率(上記(1)及び(2)②)の上限を14%する特例を適用期限を2年延長する。 (4)中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が5%を超える場合の特例を、8%を超える場合の特例に見直し、適用期限を2年延長する。また、上記(2)②と同様に試験研究費の額が平均売上高の10%を超える場合に税額控除率を割り増す措置を講じる。 (5)特別試験研究費の額に係る税額控除制度について次の見直しを行う。 ① 対象となる特別試験研究費の額に一定の要件を満たす企業間の委託研究に要する費用の額を加え、税額控除率を20%とする。 また、研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への委託研究に係る税額控除率は25%とする。 ② 税額控除の上限を当期の法人税額の10%に引き上げる。 (6)上記(2)の改組に伴い、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度を廃止する。 (7)新設分割承継法人等に係る調整計算等の適正化等の整備を行う。 |
平成31年4月1日以後開始事業年度より適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地方税
|
(研究開発税制)
中小企業者等の試験研究を行った場合の税額控除制度 |
(1)中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が5%を超える場合の特例を、8%を超える場合の特例に見直し、適用期限を2年延長する。
(2)試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限の上乗せ特例について、次のとおり改組し、適用期限を2年延長する。 ① 中小企業技術基盤強化税制における控除税額の上限(当期の法人税額の 25%)に、当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%を上限とする。)を乗じて計算した金額を上乗せする(現行と同じ。)。 ② 中小企業技術基盤強化税制における税額控除率を、12%又は上記(1)の特例による率に、その率に控除割増率を乗じて計算した率を加算した率とする(小数点以下3位未満の端数は切捨てた率とし17%を上限とする。)。 (3)特別試験研究費制度について法人税と同様の見直しを行う。 |
平成31年4月1日以後開始事業年度より適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税 | 中小企業者等の軽減税率の特例の期限延長 | 年所得800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率15%(本則税率19%)の適用期限が改正前の「平成31年3月31日までに開始する事業年度」から「平成33年3月31日までに開始する事業年度」と、適用期限を2年延長する。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税
所得税 |
中小企業投資促進税制の期限延長 | 適用期限が改正前の「平成31年3月31日までに取得等」から「平成33年3月31日までに取得等」と、適用期限を2年延長する。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税
所得税 |
中小企業経営強化税制の期限延長等 | (1)適用期限が改正前の「平成31年3月31日までに取得等」から「平成33年3月31日までに取得等」と、適用期限を2年延長する。
(2)特定経営力向上設備等の範囲の明確化及び適正化を行う。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税
所得税 |
商業・サービス業・農林水産業活性化税制の適用期限の延長等 | (1)適用期限が改正前の「平成31年3月31日までに取得等」から「平成33年3月31日までに取得等」と、適用期限を2年延長する。
(2)経営改善設備の投資計画の実施を含む経営改善により売上高又は営業利益の伸び率が年2%以上となる見込みであることについて、認定経営革新等支援機関等の確認を受けることが、適用要件に加えられる。 |
(1)平成31年4月1日以後に取得等をする経営改善設備等について適用
(2)平成31年3月31日以前に交付を受けた経営改善指導助言書類に係る経営改善設備のうち同年9月30日までに取得等をしたものについては、左記(2)の確認手続きは不要 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税
所得税 |
中小企業の防災・減災設備への投資に係る特別償却制度の創設 | 中小企業等経営強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)のうち同法の事業継続力強化計画又は連続事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けたものが、右記期間にその計画に係る特定事業継続力強化設備等(※)の取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の20%の特別償却ができることとなる。
(※)特定事業継続力強化設備等とは、上記事業継続力強化計画又は連続事業継続力強化計画(仮称)に記載された機械装置、器具備品及び建物附属設備のうち次のそれぞれのものをいう。 ①機械装置…1台又は1基の取得価額100万円以上 ②器具備品…1台又は1基の取得価額30万円以上 ③建物附属設備…一の取得価額60万円以上 |
中小企業等経営強化法の改正法の施行日から平成33年3月31日までに、対象設備等の取得等をした場合に適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税 | みなし大企業の範囲の見直し | みなし大企業の判定において、大規模法人に次の法人を加えるとともに、その判定対象となる法人の発行済株式又は出資からその有する自己の株式又は出資を除外する。
① 大法人の100%子法人 ② 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人 (注)上記の「大法人」とは、資本金の額若し<は出資金の額が5億円以上である法人、相互会社若しくは外国相互会社(常時使用従業員数が1,000人超のものに限る)又は受託法人をいう。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
事業税 | 法人事業税(所得割及び収入割に限る。)の税率の改正 | 法人事業税の標準税率を次のとおりとする。
(注1) 資本金1億円超の普通法人の所得割の制限税率について、標準税率の1.7倍(現行:1.2倍)に引き上げる措置を講ずる。 (注2) 3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金1,000万円以上であるものの所得割に係る税率については、軽減税率の適用はない。 (注3) 上記の「現行」とは、平成31年10月以降に適用することとされている税率に関する規定である。 |
平成31年10月1日以後に開始する事業年度から適用
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
事業税 | 特別法人事業税(仮称)の創設 | (1) 納税義務者
法人事業税(所得割又は収入割)の納税義務者に対して課する国税とする。 (2) 課税の対象 法人事業税額(課税標準により計算した所得割額又は収入割額とする。) (3) 税率 ① 付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率・・・260% ② 所得割額によって法人事業税を課税される普通法人等の所得割額に対する税率・・・37% ③ 所得割額によって法人事業税を課税される特別法人の所得割額に対する税率・・・34.5% ④ 収入割額によって法人事業税を課税される法人の収入割額に対する税率・・・30% (4) 申告納付・賦課徴収 都道府県に対して法人事業税と併せて行うものとする。 |
平成31年10月1日以後開始する事業年度から適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
事業税 | 特別法人事業譲与税(仮称)の創設 | 特別法人事業税(仮称)の収入額を、使途を限定しない一般財源として都道府県へ譲与する特別法人事業税譲与税(仮称)を創設する。
特別法人事業税(仮称)の収入額を人口で按分した額を各都道府県へ配分する。 |
平成32年度から適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税 | 仮想通貨の期末評価方法の設定 | ① 法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在するものについては、時価評価により評価損益を計上する。
② 法人が仮想通貨の譲渡を行った場合には、その譲渡に係る譲渡契約日の属する事業年度に譲渡損益を計上する。 ③ 仮想通貨の譲渡に係る譲渡原価の額の算出にあたり、1単位あたりの帳簿価額の算出方法は移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法は移動平均法による原価法とする。 ④ 法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計算する。 ⑤ その他所要の措置を講ずる。 |
平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。
なお、同日前に開始し、かつ同日以後に終了する事業年度について、会計上仮想通貨の時価評価をしていない場合には、左記①及び④を適用しないことができる経過措置を講ずる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税 | 組織再編税制の要件の見直し | (1) 株式交換等の後に、完全親法人を被合併法人とし、完全子法人を合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、当初の株式交換等に係る適格要件のうち、完全支配関係の継続要件について、その適格合併の直前の時までの関係により判定する。
(2) 合併、分割及び株式交換に係る適格要件並びに被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる要件のうち、対価に関する要件について、対象となる合併法人等の親法人の株式に合併法人等の発行済株式の全部を間接に保有する関係法人がある法人の株式を加える。 |
― | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
法人税 | 役員給与の見直し(業績連動給与) | (1)報酬委員会及び報酬諮問委員会(以下「報酬委員会等」という)における決定等の手続について、委員の要件及び決議要件の見直しを行う。
(2)監査役会設置委員会における監査役の過半数が適正書面を提出した場合の取締役会の決定及び監査等委員会設置会社における監査等委員の過半数が賛成している場合の取締役会の決定の手続きを除外する。 |
平成31年4月1日以後に支給に係る決議をする給与について適用 |
〔資産課税〕
税目 | 項 目 | 改正内容 | 適用期限 |
相続税
贈与税 |
個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予税度の創設 | (1)認定を受けた相続人(受贈者)が、相続(贈与)により特定の事業用資産を取得して事業を継続する場合、担保提供を条件に、取得した事業用資産の課税価格に対応する相続税(贈与税)の納税を猶予する。
(2)事業用資産には不動産貸付事業用資産は含まず、土地は面積400㎡、建物は床面積800㎡までとする。その他、固定資産税又は営業用として自動車税若しくは軽自動車税の対象となっている減価償却資産を対象とする。いずれも青色申告書に添付される貸借対照表に計上されている資産に限られる。 (3)適用を受けるためには承継計画を2019年(平成31年)4月1日から2024年(平成36年)3月31日までに都道府県に提出しなければならない。 (4)猶予税額の計算方法は非上場株式等についての相続税(贈与税)の納税猶予制度の特例と同様とする。 (5)この特例を受ける場合は、特定事業用宅地等の小規模宅地等の特例の適用を受けることができない。 |
2019年(平成31年)1月1日から2028年(平成40年)12月31日までの間に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する事業用資産に係る相続税又は贈与税について適用する。 |
相続税
|
特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し | (1)特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等を除外する。
(2)但し、当該宅地等の上で事業の用に供している減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合には除外しない。 |
2019年(平成31年)4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用する。但し、同日前から事業の用に供している宅地等については適用しない。 |
贈与税 | 教育資金の一括贈与非課税措置の見直し | (1)信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、当該信託等により取得した信託受益権等ついては適用を受けることができない(2019年(平成31年)4月1日以後の取得から)。
(2)受贈者が23歳になった日の翌日以後に、学校等以外の者に支払われる金銭のうち次のものを適用対象から除外する(2019年(平成31年)7月1日以後の支払から)。 ①教育に係る役務提供の対価 ②スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価 ③①②に関する物品の購入費及び施設利用料 但し、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用は除外しない。 (3)教育資金管理契約終了日までに贈与者が死亡した場合で、死亡日前3年以内に信託等により取得した信託受益権等にこの非課税措置を受けたことがある場合は、一定の場合を除き、死亡日時点の管理残額を受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。 (4)受贈者が30歳に達した場合でも次のいずれかに該当する場合は、教育資金管理契約は終了しない(2019年(平成31年)7月1日以後に受贈者が30歳に達する場合から適用)。 ①受贈者が学校等に在学している場合 ②受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合 教育資金管理契約は、①②のいずれにも該当する期間がなかった場合におけるその年12月31日又は受贈者が40歳に達した日のいずれか早い日に終了する。 |
左の措置を講じたうえで、適用期限を2021年(平成33年)3月31日まで延長する。 |
贈与税 | 結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し | (1)信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、当該信託等により取得した信託受益権等ついては適用を受けることができない(2019年(平成31年)4月1日以後の取得から)。
|
左の措置を講じたうえで、適用期限を2021年(平成33年)3月31日まで延長する。 |
相続税
贈与税 |
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し(一般措置・特例措置ともに) | (1)贈与税の納税猶予における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
(2)一定のやむを得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用方会社に該当した場合においても、その該当した日から6ヶ月以内にこれらの会社に該当しなくなったときは、納税猶予の取消事由に該当しないものとする。 (3)手続の簡素化を行う。(例:贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の適用を受ける場合には贈与税の納税猶予の免除届出の添付書類不要とする。) |
(1)の改正は2022年(平成34年)4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。 |
相続税 | 未成年者控除の年齢要件 | 相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢を18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げる。 | 2022年(平成34年)4月1日以後。 |
相続税
贈与税 |
相続時精算課税制度等の年齢要件
|
次の制度における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
① 相続時精算課税制度 ② 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例 ③ 相続時精算課税適用者の特例 ④ 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度(一般措置・特例制度ともに) |
2022年(平成34年)4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。 |
相続税 | 民法(相続関係)改正に伴う配偶者居住権、特別寄与料に係る措置 | (1)相続税における配偶者居住権等の評価額を次の通りとする。
① 配偶者居住権 建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率 ② 配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」)の所有権 建物の時価-配偶者居住権の価額 ③ 居住建物の敷地の利用に関する権利 土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率 ④ 居住建物の敷地の所有権等 土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額 (注1)残存耐用年数 居住建物の所得税法上の耐用年数(住宅用)の1.5倍の年数から築後経過年数を控除した年数 (注2)存続年数 イ 配偶者居住権の存続期間が配偶者の終身の場合 配偶者の平均余命年数 ロ イ以外の時 遺産分割協議等による配偶者居住権の存続期間の年数(配偶者の平均余命年数が上限) (注3)残存耐用年数又は残存耐用年数から存続年数を控除した年数が零以下の場合は、「(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数」は零とする。 (2)物納劣後財産の範囲に居住建物及びその敷地を加える。 (3)配偶者居住権設定登記について、居住建物の価額(固定資産税評価額)に対し1,000分の2の税率により登録免許税を課税する。 (4)特別寄与料 ① 特別寄与者が特別寄与料を被相続人から遺贈により取得したものとみなして相続税を課税する。 ② ①により相続税の申告義務が生じた者は、その事由が生じたことを知った日から10月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。 ③ 相続人が支払う特別寄与料は、その相続人の相続税の課税価格から控除する。 ④ 相続税の更生の請求の特則等に①の事由を加える。 (5)遺留分制度の見直しに伴う所要の措置を講ずる(所得税も同様)。 |
(民法の配偶者居住権の施行期日:2020年(平成32年)4月1日)
(民法の特別寄与料の施行期日:2019年(平成31年)7月1日) |
登録免許税 | 土地の所有権移転登記 | 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(税率1,000分の20→1,000分の15)の適用期限を2年延長する。 | 2021年(平成33年)3月31日まで |
〔消費課税・納税環境整備〕
税目 | 項 目 | 改正内容 | 適用期限 | ||||||||
自動車税環境性能割 | 自動車税環境性能割の見直し | 平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に取得した自家用乗用車に係る環境性能割について、次のとおり税率1%分を軽減する特例措置を講ずる。
|
平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に取得した自家用乗用車に適用 | ||||||||
自動車税種別割 | 自動車税種別割の見直し | 自家用乗用車(三輪の小型自動車を除く)に係る種別割の税率を見直す。
|
平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けたものから適用 | ||||||||
消費税 | 金地金等の仕入税額控除制度の見直し | 金地金等の密輸に対応するため、以下の見直しを行う。
(1) 密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除の適用を認めないこととする。 (2) 金又は白金の地金の仕入れについて、本人確認書類の写しの保存を仕入税額控除の要件に加える。
|
(1)の改正は平成31年4月1日以後、(2)の改正は同年10月1日以後の課税仕入に適用 | ||||||||
情報照会制度 | 情報照会制度の整備 | 税務当局による事業者及び官公署又は特別の法律により設立された法人(以下「事業者等」という)の情報照会の仕組みについて、次のとおり整備を行う。
(1) 事業者等への協力要請につき法令上明確化 (2) 一定の要件を満たす場合、事業者等に特定取引者の氏名又は名称、住所又は居所及び個人番号又は法人番号につき、その準備に要する日数を勘案した日までに報告を求めることができる |
平成32年1月1日以後に行う協力又は報告の求めについて適用 |
〔国際課税〕
税目 | 項 目 | 改正内容 | 適用期限 |
法人税
地方税 |
過大支払利子税制の見直し | (1)調整所得金額
調整所得金額の計算上、所得金額に加算する金額から受取配当等の益金不算入額及び外国子会社配当等の益金不算入額を除外する等、所要の措置を講ずる。 (2)損金不算入額 損金不算入とするのは、対象純支払利子等のうち、調整所得金額の20%(現行:50%)を超える金額とする。 (3)適用免除基準 以下のいずれかに該当するときは適用除外とする。 ①対象純支払利子等の額≦2,000万円(現行:1,000万円) ②イの額≦ロの額×20% イ 内国法人及び特別関係にある内国法人全体における対象純支払利子等の額 ロ 内国法人及び特別関係にある内国法人全体における調整所得金額 (現行の「関連者への支払利子等の額≦総支払利子等の額×50%」基準は廃止) (4)その他 (2)に伴い、損金不算入とされた超過利子額を7年間繰り越して損金算入する場合の限度額に必要な調整を加えるほか、所要の措置を講ずる。
|
平成32年4月1日以後に開始する事業年度 |
法人税
所得税 地方税 |
移転価格税制の見直し | (1)移転価格税制の対象となる無形資産の明確化
対象となる無形資産は、有形資産及び金融資産以外の資産で、独立事業者間で通常の取引条件に従って譲渡等が行われる場合に対価の支払が行われるべきものとする。 (2)独立企業間価格の算定方法の整備 価格算定方法として、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を加える。 (3)特定無形資産取引に係る価格調整措置の導入 独自性があり重要な価値を有する等の要件を満たすとして定めた「特定無形資産」について、その取引に係る独立企業間価格の算定基礎となる予測と結果が相違した場合、税務署長は、最適な価格算定方法により算定した金額を独立企業間価格とみなして更正等をすることができる。ただし、上記算定価格と当初取引価格との差異が20%以内である場合は除く。 (4)移転価格税制に係る更正期間の延長 更正期間及び更正の請求期間等を7年(現行:6年)に延長する。 |
平成32年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成33年分以後の所得税
|
法人税
地方税 |
外国子会社合算税制の見直し | (1)特定外国関係会社
ペーパー・カンパニーの範囲から、次の外国関係会社を除外する。 ①持株会社である一定の外国関係会社 イ その資産の額の95%超が子会社の株式や現預金等であり、かつ、その収入の額の95%超が子会社からの配当や預金利子等の額である外国関係会社。 (注)上記の「子会社」とは、その外国関係会社と同一国にある外国法人で、当該外国関係会社による持分割合が25%以上等の要件に該当するものをいう。 ロ 外国関係会社と同一国にある管理支配会社(経済活動基準やその他一定の要件を満たす会社)によって管理等が行われ、当該管理支配会社が同一国で行う事業に必要であること、その資産の額及び収入の額について一定の要件を満たす等要件の全てに該当する外国関係会社。 ②不動産保有に係る一定の外国関係会社 イ 同一国にある一定の不動産の保有を主たる事業とする外国関係会社で、同一国にある管理支配会社によって管理等が行われ、当該管理支配会社が同一国で行う事業(不動産業に限る)に必要であること、その資産の額及び収入の額について一定の要件を満たす等要件の全てに該当するもの。 ロ 同一国にある管理支配会社が自ら使用する当該同一国にある不動産の保有を主たる事業とする外国関係会社で、当該管理支配会社によって管理等が行われ、当該管理支配会社が同一国で行う事業に必要であること、その資産の額及び収入の額について一定の要件を満たす等要件の全てに該当するもの。 ③資源開発等プロジェクトに係る一定の外国関係会社 (2)対象外国関係会社(非関連者基準) 保険業を主たる事業とする外国関係会社の非関連者基準の判定について、特定保険委託者又は特定保険受託者の再保険に係る収入保険料のうち、一定の要件を満たすものについては関連者からの収入に該当しないこととする等、所要の措置を講ずる。 |
平成31年4月1日以後に開始する事業年度の合算課税(外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度に係るものに限る) |