はじめに
今回の記事では、2025年度税制改正のうち、子育て世帯等に対する生命保険料控除及び住宅ローン控除について解説します。
1.子育て世帯における生命保険料控除の拡充
2026年分の所得税の計算における生命保険料控除について、23歳未満の扶養親族を有する居住者においては、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の適用限度額が4万円から6万円に引き上げられます。
また、旧生命保険料及び上記の適用を受ける新生命保険料を支払った場合における一般生命保険料控除の適用限度額についても、4万円から6万円に引き上げられます。
なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額については、現行の12万円から変更されません。
本改正前後における23歳未満の扶養親族を有する場合における生命保険料控除(新契約)の概要は下記の通りです。
2.子育て世帯等に対する住宅ローン控除の延長
18歳以下の扶養親族を有する者又は夫婦いずれかが39歳以下の者(以下、子育て世帯等という。)において、住宅ローン控除に係る借入限度額の拡充措置が1年間延長されます。
また、合計所得金額1,000万円以下の者について、床面積要件を40㎡以上とする緩和措置も1年間延長されます。
なお、住宅ローン控除に係る借入限度額の拡充措置については、子育て世帯等に加えて、東日本大震災の被災者等についても1年間延長されます。
本改正前後における子育て世帯等に対する住宅ローン控除の概要は下記の通りです。
(出典:2025年2月7日付自民党ニュース「子育て世帯応援税制を延長 ここがポイント令和7年度税制改正大綱」)
3.子育て世帯等への住宅リフォーム税制の拡充
住宅ローン控除の他、子育て世帯等に対する支援税制として、子育て対応改修工事が住宅リフォーム税制の適用対象に追加されました。
所有する居住用家屋に対して一定の子育て対応改修工事を行い、2025年中に居住の用に供した場合には、工事費用(限度額:250万円)の10%相当額を所得税の額から控除できるとされています。
4.子育て世帯等への住宅リフォーム税制の拡充
子育て世帯における生命保険料控除の拡充については、2025年度税制改正大綱上、「2026年分における」としか記載されておらず、2027年分以後の取扱いは不明である点、及び個人住民税に関しては触れられていない点について、留意が必要となります。
また、住宅ローン控除の拡充措置の延長については、子育て世帯等が対象となるため、単身者や18歳以下の扶養親族がいない者は対象外となる点にご留意ください。
おわりに
近年、家族構成の変化や物価上昇等も相まって、子育てに対する負担感が高まっており、子ども・子育て支援に係る各種取組が検討・実施されています。
子育て世帯は何かと負担が重いですが、税制もフル活用して、賢く子育てライフを楽しみたいものですね。
(担当:中路)