はじめに
中期経営計画の作り方シリーズでは、中期経営計画の概要、全体の手順や考え方を掴んでいただき、シリーズ(5)以降から、経営理念の作り方、という内容でお送りしております。
今回から経営戦略の内容に入っていきます。まずは、経営理念にも通じる、経営戦略の考え方をご紹介いたします。
1.日本固有の「生きがい」とは
皆さん、「生きがい」はお持ちでしょうか?
この「生きがい」という単語は、日本独特の表現となっています。
精神科医である神谷美恵子氏の1966年、『生きがいについて』では、
「生きがいということばは、日本語だけにあるらしい。辞書によると生きがいとは「世に生きているだけの効力、生きているしあわせ、利益、効験」などとある。
これを英、独、仏などの外国語に訳そうとすると、「生きるに価する」とか、「生きる価値または意味のある」などとするほかはないらしい。
こうした論理的、哲学的概念にくらべると、生きがいということばにはいかにも日本語らしいあいまいさと、それゆえの余韻とふくらみがある。
フランス語でいう存在理由(レーゾンデートル)とあまりちがわないかも知れないが、生きがいという表現にはもっと具体的、生活的なふくみがあるから、むしろ生存理由 raison de vivre,raison d’existenceといった方がよさそうに思える。」
このように、単語で「生きがい」という表現をする言語が日本独特の感性であることがわかります。
2.海外から見た“IKIGAI”で理解を深める
日本における「生きがい」は、当たり前のように言語として存在するので、抽象的で捉えづらい。
そこで、スペイン人で2004年から日本に住んでいるエクトル・ガルシア氏の“IKIGAI”によれば、
1. 自分の好きなこと
2. 自分の得意なこと
3. 社会が求めていること
4. おカネになること
この4つが重なった部分が、「生きがい」だとしています。
この表現は、非常にわかりやすく、当該ガルシア氏の表現を借りることで、「生きがい」の解像度を上げることができる。
3.「生きがい」の経営戦略的アプローチ
この「生きがい」の考え方は、経営理念と経営戦略に直結します。細かな線引きはあえてせずに、ガルシア氏の表現を事業に読み替えれば、
1. 自社の価値観・大事にしていること
2. 自社の得意なこと
3. 社会が求めていること
4. おカネになること
という整理になります。
おわりに
以上、経営理念にも親和性の高い経営戦略の考察アプローチをご紹介しました。
簡単なようで奥深い切り口です。
また次回以降、掘り下げていきます。
(担当:横瀬)