はじめに
税務調査といえば、税務署による国税に対するものが一般的ですが、適正かつ公平な税負担を確保するとともに、申告納付制度の秩序を維持するために、都道府県税事務所も税務調査を行います。
本稿では、都道府県税事務所がおこなう税務調査をご紹介します。
1.住民税の調査
住民税の調査は、納税者本人に対しておこなうこともありますが、給与支払者となる法人や個人事業主に対しても調査をおこなうことがあります。
主な調査内容は以下のとおりです。
〇申告内容の確認
提出された申告書や給与支払報告書の内容(所得控除や所得内容など)の確認。
〇住所確認
納税義務者の住所や転居先の確認。
〇給与支払報告書の提出確認
給与支払者が適切に報告書を提出しているかの確認。
〇所得状況の確認
申告がない場合や報告書の提出がない場合の所得状況の確認。
2.事業税の調査
事業税の調査は、主に以下の事業者に対して実施されます。
①外形標準課税法人
外形標準課税法人に対する事業税の税務調査は、主に以下の点に焦点を当てて行われます。
〇報酬給与の集計方法
賃金台帳や給与明細を確認し、報酬や給与の計算に誤りがないかを確認します。
〇資本割の特例計算
資本割の計算方法に誤りがないかを確認します。
〇その他の特例適用
特定持株会社の特例計算など、特例の適用に誤りがないかを確認します。
②収入金課税事業者
収入金課税事業とは、主に電気供給業、ガス供給業、保険業若しくは貿易保険業をおこなう法人で、これらの法人は、法人事業税の課税標準額が法人税の所得計算の例によらず、地方税法で独自の計算を規定していること、また、その金額(給与・利子・賃借料や、非課税所得等)は事業の現況に照らして変動があることから、実地による確認が必要となります。
収入金課税事業者に対する税務調査は、特に以下の点に注意して行われます。
〇収入金額の正確性
収入金額が正しく計上されているか、売上や収入の記録が適切に管理されているかを確認します。
〇控除項目の適用
控除すべき項目(例えば、補助金や保険金など)が正しく控除されているかを確認します。
〇事業の実態確認
事業の実態が申告内容と一致しているか、特に収入金額課税の対象となる事業が適切に分類されているかを確認します。
3.法人事業税にかかる加算金
調査で誤りが指摘された場合には、原則として修正申告が必要になります。
このとき、修正申告によって増加した税額又は更正による不足税額には延滞金のほか、法人事業税については、原則として加算金がかかります。
おわりに
令和5年の地方税の改正により、地方税の徴税吏員がおこなう調査に対しての協力要請が明確化されました。
また、固定資産税や不動産取得税についても調査の範囲が明確化され、地方税の調査の効率化が期待されています。
調査の詳細については各都道府県税事務所のホームページや主税局のホームページで確認することができます。
(担当:岩崎)