会計・税務の知識

2024年09月12日 発行(スタートアップ支援特集)クラウドファンディング(1)概要編

はじめに

 

クラウドファンディングは、インターネットを通じて資金を調達する手法として、近年急速に普及しています。

特にスタートアップや中小企業、個人にとっては、従来の資金調達手段に代わる魅力的なものとなっています。

本記事では、クラウドファンディングの概要等について説明します。

 

 

1.概要

 

クラウドファンディングとは、インターネット上で多くの支援者(パトロン)から少額ずつ資金を集める手法です。

この手法は、資金を調達する側(プロジェクトオーナー)と支援者の間で直接的な関係を構築できる点で、伝統的な資金調達方法と異なります。

クラウドファンディングには、主に以下の4つのタイプがあります。

 

寄付型

支援者は資金提供に対してリターンを求めず、純粋にプロジェクトや事業を支援します。例えば、社会貢献活動や被災地支援などが該当します。

 

購入型

支援者は資金提供に対して、プロジェクトの成果物や特典を受け取ります。新商品やサービスの開発に多く利用され、支援者は試作品や限定品を受け取ることができます。

 

投資型

支援者は資金提供に対して、企業の株式や出資持分を取得します。将来的な利益や株価の上昇を期待して支援が行われます。

 

融資型

支援者は資金提供を融資として行い、一定の利子を含めた返済を受けることを目的とします。借入の一形態であり、資金提供者はリターンとして利息を得ます。

 

 

 

2.主なメリット・デメリット

 

メリット

・資金調達の迅速化

クラウドファンディングは、資金調達のプロセスが比較的早く進行します。

銀行や投資家からの資金調達に比べて、審査や交渉の時間が短縮されるため、迅速に資金を確保することができます。

 

・市場のフィードバックが得られる

クラウドファンディングを通じて、プロジェクトの初期段階から市場の反応を確認できます。

これにより、製品やサービスの改善点を見つけることができ、リリース前に修正を行うことが可能です。

 

・ブランドの認知向上

クラウドファンディングのキャンペーンを通じて、プロジェクトや企業の認知度が向上します。

支援者とのコミュニケーションを通じて、ブランドのファン層を形成しやすくなります。

 

・資金調達の多様化

従来の金融機関や投資家に頼らない資金調達方法として、多様な資金源を確保できる点が魅力です。

 

 

デメリット

・多額の手数料

クラウドファンディングプラットフォームには利用料や成功報酬として手数料が発生します。

これにより、実際に受取る資金が減少することがあります。

 

・税務処理の複雑さ

クラウドファンディングで得た資金には、税務上の扱いが異なるため、適切な処理が求められます。

特に購入型や投資型の場合、所得として計上しなければならないケースが多く税務上の知識が不可欠です。

 

・目標金額の未達による資金調達の失敗

オールオアナッシング方式が多く、目標金額未達の場合、プロジェクトが中止となり、資金調達ができない可能性があります。

 

 

 

おわりに

 

クラウドファンディングは、単なる資金調達の手段を超え、プロジェクトの認知向上やファンの形成にも貢献します。

戦略的な観点から、クラウドファンディングによる資金調達を検討してはいかがでしょうか。

一方で、クラウドファンディングの種類によって会計・税務処理が異なりますので注意が必要となります。

次回は、クラウドファンディングの会計・税務について解説します。 

(担当:園田)

 

 

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