はじめに
前回は、月次決算早期化を実現するための対策として、次の項目が挙げられ、そのうち、(1)決算プロセス管理の徹底についてご紹介させていただきました。
今回は、(2)業務改善、(3)システム改善・導入についてご紹介いたします。
【月次決算早期化のポイント】
(1)決算プロセス管理の徹底
1. 関係部門も連携した目標決算スケジュールの策定
2. 関係部門の理解と協力
3. 意識改革の徹底
(2)業務改善
1. 業務の平準化
2. 業務の前倒し
3. 業務の見直し
(3)システム改善・導入
1. インターフェースの整備
2. ワークフロー機能の開発
3. システム機能の強化、拡充
4. ERP等の導入
1.業務改善
業務改善は、さらに、次の3つに分解することができます。
1. 業務の平準化
2. 業務の前倒し
3. 業務の見直し
業務の平準化は、月末や月初に業務が集中するのを避け、月中などに分散して作業をすることで、日常業務を平準化していきます。
業務の平準化を行うために、まずは業務の棚卸しから始める必要があります。
一般的に、経理業務として、販売プロセス、購買プロセス、資産管理プロセス、経費プロセスなどがありますが、それらの業務が、いつ、だれが、何を、どのように行っているかを業務記述書やスケジュール表などに一覧化します。
そうすることで、業務の理解はもちろんですが、業務や人員配置の偏りが可視化されます。
そのうえで、月末や月初でなくても出来る作業は、月中などに分散し、人員配置についても、稼働が低い日があれば、稼働が高い作業の応援にまわるなど、融通することで業務を平準化していきます。
つぎに、業務の前倒しは、平準化とも重複しますが、決算業務で月末や月初でするものと思われている作業でも、案外、前倒しで作業が出来るものがあります。
例えば、売上について、請求書の発行や入金の確認を待って計上するのではなく、出荷や完了報告書の入手等をもって計上する。
その他にも、借入金の返済や未払利息の計上についても、返済表等から見込みで処理が可能です。
業務の見直しは、業務の棚卸しで可視化された既存の業務プロセスを再評価し、改善を図っていきます。
例えば、経営会議のために、いくつもの報告資料が作成されているが、その中で、実際には既に使用されていないものや精緻な数値まで求められていないものは、その業務自体を無くしたり、精緻な計算をやめ概算とすることで作業時間を削減することが出来ます。
その他にも、必要な業務だが社内リソースでは難しいような場合には、外注するのも方法のひとつです。
2.システム改善・導入
システム改善・導入は、さらに、次の4つに分解することができます。
1. インターフェースの整備
2. ワークフロー機能の開発
3. システム機能の強化、拡充
4. ERP等の導入
インターフェースの整備は、販売や購買等の業務管理システムから会計システムへの連携を、自動連携出来るようにすることで、手入力と比較すると大幅に工数の削減が可能となり、修正があった場合にも更新が容易となります。
ワークフロー機能の開発は、支払処理や経費精算等の申請、承認、支払処理等をシステム上で行うことにより、仕訳の自動起票が出来るなど、工数の削減が可能となります。
システム機能の強化、拡充やERP等の導入についても、インターフェースの整備やワークフロー機能の開発と同様に、手入力等のマニュアル作業から自動化することによる効率化により作業工数の削減を図るものです。
効果も大きいですが、時間と多額のコストを要するため、簡単に導入出来るものではありませんので、既存のシステムの機能を十分に理解し、人の作業や業務フローをシステムに合わせるのも方法のひとつです。
おわりに
2回にわたり、月次決算早期化のポイントとして、その実現のための対策をご紹介させて頂きました。
その中で、最も重要なのは、(1)決算プロセス管理の徹底になります。
まずはこれから始めてみるのも良いと思います。
是非、ご参考ください。
(担当:福井)