会計・税務の知識

2024年05月09日 発行(スタートアップ支援特集)月次決算早期化のポイント(1)

はじめに

 

 

迅速な意思決定のため、経営層から月次決算の早期化を指示されているものの、

 

(1) スケジュールが可視化されておらず、いつまでに何をすればいいか誰も管理できていない、

(2) 取引先や関係部門から経理に必要な書類の到着が遅く、早期に決算業務に取り掛かることができない

(3) 報告資料に誤りが多く、修正に時間を要する、

(4) 紙資料が多く、会計システムへの手入力、入力内容の正確性チェックに時間を要する

 

など、各社様々な事情により、月次決算がなかなか締まらないという問題に悩んでいるケースがあるかと思います。

そこで、今回は、月次決算早期化を実現するためのポイントついて、ご紹介いたします。

 

 

 

1.月次決算早期化のポイント

 

 

月次決算早期化を実現するための対策として、次の項目が挙げられます。

 

(1)決算プロセス管理の徹底

  (1) 関係部門も連携した目標決算スケジュールの策定

  (2) 関係部門の理解と協力

  (3) 意識改革の徹底

 

(2)業務改善

  (1) 業務の平準化

  (2) 業務の前倒し

  (3) 業務の見直し

 

(3)システム改善・導入

  (1) インターフェースの整備

  (2) ワークフロー機能の開発

  (3) システム機能の強化、拡充

  (4) ERP等の導入

 

例)目標決算スケジュール表

 

 

 

 

 

 

 

 

以下では、このうち「決算プロセス管理の徹底」について具体的に解説していきます。

 

 

 

2.決算プロセス管理の徹底

 

決算プロセス管理の徹底は、さらに、次の3つに分解することができます。

 

  (1) 関係部門も連携した目標決算スケジュールの策定

  (2) 関係部門の理解と協力

  (3) 意識改革の徹底

 

そもそも、可視化された決算スケジュールがなくては、管理することができません。決算早期化実現のためには、目標決算スケジュールを可視化し、経理部門だけでなく、関係部門やその管理者レベルまで共有され、その遵守を共通認識とする必要があります。

 

また、決算業務は、経理部門の仕事と思われがちですが、経理部門は自ら情報を作り出している訳ではなく、取引先からの請求書や営業部門からの売上証憑など、関係部門からの情報をもとに決算作業を行っています。そのため、関係部門の理解と協力なくして、目標決算スケジュール通りの進捗は難しいといえます。

 

そして、決算プロセス管理を徹底するために、最も重要なのは、意識改革であると考えます。

これまでと同じ意識でやっていては、関係部門を含めた、目標決算スケジュールを策定しても、結局、遵守されることもないまま形骸化してしまうことになります。

また、関係部門の理解と協力を得るには、何が何でも決算早期化を実現するという意識で臨まないと、もともと決算にあまり興味がない経理部門以外の関係部門の協力を得ることは難しい場合も考えられます。そのため、関係者一人一人の意識改革の徹底が、非常に重要な要素になるとと考えます。

 

 

 

おわりに

 

本稿では、決算早期化のための「決算プロセス管理の徹底」のために必要なことを3つ挙げました。まず、目標決算スケジュールを作成して、経理部門内部のみならず関係部門にも周知し、理解と協力を促し、意識を高めていく必要があり、担当者には意欲と忍耐も求められますね。

次回は、「業務改善」と、「システム改善・導入」について解説します。

(担当:福井)

 

 

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