はじめに
新型コロナウイルスへの経済対策として2021年3月に創設された事業再構築補助金は、改定を繰り返し現在第11回まで実施されています。
今回は事業再構築補助金の現在の内容について、過去との比較を交えながら記述します。
1.事業再構築補助金とは
ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の事業再構築を支援する制度です。
具体的には、補助対象経費に対し一定の補助金が支給されます。
事業再構築補助金事務局HPに活用イメージとして「オフィス勤務の方向けの弁当販売を行う事業者が、高齢者向けの食事宅配事業を開始」等が挙げられています。
2.第1回と現在の比較
上記図の通り、第11回では申請枠が増加しており、より各社の状況に合わせた申請が可能になっております。以下で基準となる第1回の「通常枠」及び第11回の「成長枠」について比較を深堀していきます。
<申請要件>
下図の通り、第1回では「売上が減少している」という要件がある一方で、第11回では「付加価値を増加させる」計画を立てる旨の要件が設けられています。第1回では新型コロナウイルスの影響により立ち行かなくなった事業を救うという色合いが見て取れ、第11回ではポストコロナでより成長する事業への投資を促進するという意図がみられます。
<補助額及び補助率>
第1回と比較すると予算が削減されていることもあり、補助上限額及び補助率については第11回の方が減少しています。ただし、従業員数や補助率の上乗せ要件があり、上記図以上の補助もあります。
おわりに
事業再構築補助金の採択件数は、第1回の2,866件から始まり、ピークは第5回9,707件で、最後に採択数が公表されている第10回で5,205件です。
事業再構築補助金開始当初と比較するとニュースを耳にすることも少なくなった印象ですが、売上減少要件がなくなったことで、以前より申請しやすい会社もあるかと思います。
執筆時点では第12回の公募は出ておりませんが、おそらく行われるだろうとの見方が強く、その動向にも注目したいと思います。
(担当:野村)