はじめに
中期経営計画の作り方シリーズ①・②では、中期経営計画の概要について、③・④は全体の手順や考え方を掴んでいただきました。
今回から、経営理念の作り方、という内容でお送りしていきます。
経営理念の重要性については、シリーズ③で既に記載した通りで、経営理念のある企業の方が、収益性が高いとデータが示しています。
1.経営理念は最初に作り、最後にまた見直す。
経営理念とは、組織を経営する上で大事にする想いを言葉にしたもの、という表現で良いかと思います。
起業したばかりであれば、なぜ起業したのか?と聞かれたら答えるようなことで良いですし、事業承継期等であれば、会社の中で大事にしていることでもいいですし、歴史を振り返り、創業者の想いを紐解いてみても良いでしょう。
また、難解な言葉を使う必要もありません。
ただ、中期経営計画を策定していると、途中で色々な方面に話が広がります。
アイデアが広がるのは良いのですが、広がりすぎて、よくあるのは、「その事業をうちの会社でやる必要あるの?」という疑問にあたったりします。
その時に役立つのが、経営理念です。
計画策定中においても、悩みや迷いが生じたら、経営理念に立ち返る。
そういった意味では、経営理念は最初に作成しておいた方が、計画策定のよりどころになるので有効です。
ただし、最初から作れるわけではありませんし、計画策定中に微妙に表現が変わったりもします。
従って、最初にまずはなんとなくの勢いで表現して仮置きする。
計画が具体化されて、最後にもう一度見直す。
この程度で考えて、次に進んでいきましょう。
2.組織内であれば、だれが作っても良い
経営理念は経営者が作るもの、といった固定観念に出会うことがあります。
もちろん、経営者が作成すれば良いのですが、メンバーを募って作成する、全社員で作成する、など様々です。
たとえ1人会社であっても、全て一人で完結するわけではないので、ビジネスパートナーや家族に相談するようなことがあっても良いですね。
3.経営理念のブレスト会議
経営理念検討時にお勧めなのが、複数人で、フセンを使って作成していくやり方です。
それぞれが大事にする想いをフセンに記載する。
その中で共感できる表現をピックアップして、並び替える。
これは一人でも有効です。
頭から全てを一言一句記載するのではなくて、フセンに表現を記載していって、それを組み合わせていく。
複数人でやると、何か変なものが出来上がるのではないか?と思うかもしれませんが、同じ企業に属していて、同じような考え方の方が集まっているのであれば、大きなブレはでませんし、一人で考えるよりも、豊かな表現になる可能性が高いです。
4.経営理念の『五方よし』
フォーマット的な考え方であれば、『日本で一番大切にしたい会社』の著者、坂本光司氏が考える、『五方よし』を軸に考えると良いかと思います。
近江商人の経営哲学である、売り手良し、買い手良し、世間に良し、の『三方よし』は有名ですね、『五方よし』とは、
①社員とその家族
②社外社員(外注先等)とその家族
③現在顧客と未来顧客
④地域住民、障がい者や高齢者等社会的弱者
⑤出資者・関係機関
この5つの順番を大事にしながら、経営をしていく考え方です。
この立ち位置として、企業経営の目的・使命は、その企業に関係するすべての人を幸せにする、という考えから生まれています。(三方だと、社員という概念が抜けやすい)
これを質問形式に変え、例えば、社員とその家族に対して、どのような役立ちをしたいですか?といった質問に答えるだけでも、十分な経営理念を策定することができます。
おわりに
経営理念について、まだまだ語り切れません!次号に続きます。
(担当:横瀬)