会計・税務の知識

2023年08月31日 発行金融商品取引業と取引業者

はじめに

 

金融商品取引業とは、金融商品取引法第2条第8項に掲げる行為のいずれかを業として行うことと定義され、そのいずれかを業とする場合には、原則として内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

金融商品取引業者は4つの類型に区分されています。

 

 

 

1.第一種金融商品取引業

 

・高い流動性が想定される有価証券や電子記録移転権利に係る、売買、市場デリバティブ取引等の媒介、取次、代理、募集、売出、私募の取扱を行う。

・関係する店頭デリバティブ取引を行う。

・有価証券の元引受け(引受けのうち金融商品取引業者等以外から取得する事)と、それ以外の引受け(転売目的で自ら取得する事等)を行う。

・私設取引システム(PTS)の運営を行う。

・顧客から金銭及び有価証券等の預託を受ける。

・金銭や有価証券の受託業務・社債等の口座振替。

 

 

 

2.第二種金融商品取引業

 

 

・集団投資スキーム持分等の自己募集、勧誘を行う。

・流通があまり想定されていない有価証券やみなし有価証券の売買、媒介、取次、代理、募集、売出、私募の取扱いを行う。

・第一種金融商品取引業の範囲外のデリバティブ取引(市場デリバティブ、金利先物取引、為替証拠金取引等)の媒介、取次、代理等を行う。

・投資信託及び外国投資信託の受益権を自己募集した場合の転売目的としない買取り。

・信託受益権の売買、売買の媒介、募集の取扱い(媒介)など、又は、ファンドの自己募集、募集の取扱い(媒介)などを行う。

 

 

 

3.投資助言・代理業

 

 

・投資助言業とは「有価証券の価値等」や「金融商品の価値(デリバティブ取引を含む)等の分析に基づく投資判断」に関する助言を行う業務をいい(法2条8項 11 号)、最終的な投資判断・投資実行は顧客が自ら行う点で投資運用業とは異なる。

・代理業は投資顧問契約又は投資一任契約(投資判断を一任され、当該判断に基づき投資を行う権限を委任される契約)の締結の代理・媒介を行う。

 

 

 

4.投資運用業

 

・顧客から委託を受けて、顧客資産の形成に継続的に関与し、高度な専門性やリスク管理体制で資産運用を行う業務(投資一任業)、投資法人資産運用業、投資信託委託業、集団投資スキーム持分に係る自己運用業務を行う。

相対的に厳格な業者規制が課せられている。

 

<取扱い業務>

・ファンド等有価証券、デリバティブの運用

・投資一任契約の締結

・投資信託委託業

・投資法人資産運用業

・海外投資家等特例業務

・移行期間特例業務

 

 

 

5.外国法人による金融商品取引業務

 

外国において証券取引業務、投資運用業又は投資助言業務を行う外国金融機関が、有価証券市場等に関する情報収集・情報提供等を行うため国内に駐在員事務所等の施設を設置しようとする場合には、登録は不要ですが、内閣総理大臣への事前の届出が必要です(金融商品取引法第62条)

 

(注釈)

集団投資スキーム持分(ファンド)とは、(1)投資者から金銭の出資・拠出を受け、(2)出資・拠出された金銭を用いて事業・投資を行い、(3)当該事業から生じる収益等を出資者に分配するスキーム、にかかる権利で、金融商品取引法により有価証券とみなされています。

 

 

 

おわりに

 

証券会社をはじめ、銀行、保険会社のみならず、従業員数名という少数精鋭で金融商品取引業を業としている企業様も多数いらっしゃいます。

非常に難解で高度な専門知識と経験を要する業務であり、一長一短には辿り着けない専門領域であるかと思います。

(担当:池田)

出典:関東財務局HP、日本証券業協会HP、2008年Q&A金融商品取引法の実務

 

 

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