はじめに
中期経営計画の作り方シリーズでは、中期経営計画の概要、全体の手順や考え方を掴んでいただき、シリーズ⑤以降から、経営理念の作り方、という内容でお送りしております。
今回は、近年注目されているパーパスについてご案内いたします。
1.パーパスとは?
パーパス(purpose)とは、直訳は目的、意図、意義等の意味を持ち、会社経営に当てはめると、存在意義というニュアンスで使われています。「志」と表現する場合もあります。
前回の最後に記載した、「Whyから始める」ことが、パーパスを策定することにつながります。
「会社の存在意義は?」つまり「なぜ我々が存在するのか?」の問いかけに対する答えです。
「創業の想い」でも良いですね。
日本政策金融公庫の国民生活事業における創業計画書の最初の記載内容も、「創業の動機」創業されるのは、どのような目的、動機からですか、と問いかけています。
まさしく、この動機こそが、個性であり、今までに無い企業を生み出すための必要なことです。
とはいえ、この動機はなんでも良いわけではなくて、「お金儲けをしたいから」「所属していた会社が嫌だから」というような個人的な動機では、協力しようと思う方は少なく、永続性に乏しいです。
利益や結果も意識しますが、後からついてくるものとして、社会的な問題や課題の解決、今までにない、既存の会社では解決できないような考え方によって、必要な協力を仰げるものと考えられます。
2.経営理念等との整理
厳密に、唯一無二の存在にまで絞り込みをかけるのは難しいですが、ある程度の切り口を考えた方が良いでしょう。
長年の歴史ある会社では、創業者の想いを直接聞けないケースもあります。
この場合は、従前ご案内した、社是や経営理念といったことがヒントになりますし、社是や経営理念がある場合においては、社是、経営理念、パーパスの役割整理も必要です。
また、前回ご案内した、ミッション、ビジョン、バリューとも、違いを整理する必要があります。
ミッション、ビジョン、バリューとパーパスはほぼ同義的に捉えられる場合もありますが、あえてわけるとすると、例えば、ミッションはWhat、パーパスはWhyとおきかえている場合もあります。
3.パーパスの使い方事例
この用語の使い方については、明確な基準や法律があるわけでなく、多様な企業で、それぞれが必要に応じて、必要な要素を切り出して考えていく必要があります。
例えば、SONYにおいては、Sony’s Purpose & Valueというサイトを掲げ、パーパスとバリューを主軸に展開しています。
TOYOTAにおいては、トヨタフィロソフィーという概念のもと、豊田綱領、ミッション、ビジョン、バリューという構成でまとめています。
パーパスを明確に掲げる場合もあれば、パーパス経営という概念的な考え方のもとで各要素を言語化している場合と、多様な表現とも言えるでしょう。
おわりに
以上、いかがでしょうか。今回は概要にとどまりますが、また次回以降、お楽しみに!
(担当:横瀬)