はじめに
課税売上高が1,000万円を超える法人は、消費税課税事業者として消費税申告を行う必要があり、これは公益法人や社会福祉法人等も同様です。
しかし、公益法人等においては、通常対価性のない会費や補助金等といった不課税売上が多い特徴があります。
そこで消費税法では、不課税売上のうち、特定の収入について仕入税額控除の制限を掛けています。
イメージ図及び特定収入の範囲は以下の表の通りです。
(国税庁:「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」より)
特定収入によって賄われる課税仕入れ等は、最終消費的な性格を有していると考えられており、公益法人等が消費税負担者となることとなります。
そこで、➀特定収入のうち、課税仕入れのみに使途が特定されているものは当該課税仕入金額に対する消費税額、②下記の計算式における特定収入割合により算出された消費税額の合計額を、特定収入に係る消費税額として仕入控除税額から差し引くことになります。
おわりに
このように公益法人等では特定収入に係る課税仕入れ等の税額は、課税売上高に対する消費税額から控除できないため、想定よりも納付額が多くなることがあります。
そのため、特定収入の基本的な考え方を理解することが大切です。
なお、特定収入割合が5%未満の場合や簡易課税制度を採用している場合は、今回の調整は必要ありません。
(担当:三浦)