会計・税務の知識

2023年01月05日 発行不動産の譲渡所得について

はじめに

明けましておめでとうございます。

良い年末年始をお過ごしになりましたでしょうか。

年が明けて間もなく、所得税の確定申告書の作成作業が始まります。

今回は、所得税で特に金額が相対的に多額になる不動産の譲渡所得について説明します。

 

 

1.譲渡所得及び所得税等の計算式

 まず、譲渡所得は以下のように計算されます。

 譲渡所得金額=総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除 

 

 

次に、所得税等は所有期間に応じて、以下のように計算されます。

 

(1)短期譲渡所得:取得日の翌日から譲渡した年の1月1日までの所有期間が5年以下

 所得税等=譲渡所得×税率(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%) 

 

(2)長期譲渡所得:取得日の翌日から譲渡した年の1月1日までの所有期間が5年超

 所得税等=譲渡所得×税率(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%) 

 

上記において、何らの特例制度を使用しない場合には、譲渡収入から土地等の通常の取得費及び仲介手数料等の譲渡費用を差し引き、税率を乗じて所得税等を求めますが、以下の特例制度を使用することにより所得税等を軽減することが出来ます。

 

 

2.特例制度

(1)相続財産を譲渡した場合の相続税額の取得費加算の特例

譲渡した不動産が相続又は遺贈により取得したもので、その譲渡が相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に行われている等、一定の場合には支払った相続税のうちの一部を取得費に加算することが出来ます。

 

 (計算式)

取得費費に加算する相続税額 ①その者の納付相続税額  × ②その者が譲渡した土地・建物の相続税評価額

③その者の相続税の課税価格
(債務・葬式費用控除前)

 

 

例えば、①その者の納付相続税額が2,000万円、②その者が譲渡した土地の相続税評価額が1,000万円、③その者の相続税の課税価額が4,000万円であった場合に計算式に従って計算すると500万円となります。
こちらの500万円を譲渡所得金額における取得費に加算することが出来ます(譲渡益の範囲内で)。

 

(2)居住用財産の譲渡の特例

①居住用財産の譲渡所得の特例

 以下の主な要件等を満たす場合には、特別控除として3,000万円を譲渡益から控除することが出来ます。

 (主な要件)

・自己が居住しなくなった日から3年後の12月31日までに譲渡していること

・譲渡年の前年又は前々年に、既に居住用財産の同様の特例を適用していないこと(3年に1回)

 ・配偶者、直系血族、生計を一にする親族に譲渡するものでないこと

 

②居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の特例(軽減税率の特例)

上記の要件に加え、譲渡した年の1月1日で土地・建物ともに所有期間が10年超である場合には、以下のように税率が軽減されます。

 

 

おわりに

前回は被相続人の空き家特例を紹介し( https://www.koyano-cpa.gr.jp/archives/knowledge/14118 )、今回は取得費加算および居住用財産の譲渡特例を紹介しました。

こちら以外にも様々な特例制度があります。このような特例制度を適用するかしないかで、納税額が大きく変わることがありますので、不動産の譲渡があった場合には、税理士に相談することを強くお勧めします。

 

 

(担当:園田)

 

 

PAGETOP

お問い合わせ