会計・税務の知識

2022年10月06日 発行年末調整手続の電子化について

はじめに

 

これまでの年末調整では、従業員は保険会社から保険料控除証明を書面(ハガキ)で受け取り、それを基に手書きで保険料控除申告書を作成して書面で勤務先に提出するなど、年末調整の一連の手続きを書面で行っていました。

 

2020年10月からこの一連の手続きの電子化がスタートし、従業員は控除証明書を電子データで受け取り、当該データを電子化に対応した民間ソフトウェアや国税庁が提供する年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(通称「年調ソフト」)にインポートすることで、各種控除申告書をデータ作成しメール等で勤務先に提出することができるようになりました。

 

なお、詳細については、国税庁ホームページの「年末調整手続の電子化に向けた取組について」(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho.htm)をご覧ください。

 

 

 

1. 年末調整手続の電子化の概要

 

年末調整手続が電子化された場合は、次のような手順となります。

 

① 従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領

② 従業員が、国税庁ホームページ等からダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(※)に、住所・氏名等の基礎項目を入力し、①で受領した電子データをインポート(自動入力、控除額の自動計算)して年末調整申告書の電子データを作成

③ 従業員が、②の年末調整申告書データ及び①の控除証明書等データを勤務先に提供

④ 勤務先が、③で提供された電子データを給与システム等にインポートして年税額を計算

 

※ 年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)とは、年末調整申告書について、従業員が控除証明書等データを活用して簡便に作成し、勤務先に提出する電子データ又は書面を作成する機能を持つ、国税庁が無償で提供するソフトウェアです。

 

 

 

 

2.電子化のメリット

 

(勤務先のメリット)

① 保険料控除等の控除額の検算が不要

② 控除証明書等のチェック事務が削減(従業員が控除証明書等データを利用した場合)

③ 従業員からの問合せが減少

④ 年末調整関係書類の保管コストが削減

 

(従業員のメリット)

① 控除額等の記入・手計算が不要

② 控除証明書等データを紛失しても再交付依頼が不要

③ 勤務先からの問合せが減少

 

 

 

 

3.マイナポータル連携について

 

従業員の方が保険会社等から取得する控除証明書等データについては、保険会社等のウェブサイトから入手する方法のほか、マイナポータルを通じて一括取得することができます。

マイナポータルから取得できる情報は保険料控除証明書、年末残高等証明書、住宅ローン控除証明書です。

連携の準備としてマイナンバーカード、ICカードリーダライタ又はマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン、加入している生命保険の証券番号などが必要になります。

 

詳しくは国税庁ホームページの「マイナポータル連携特設ページ」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/mynapo.htm)をご覧ください。

 

 

 

おわりに

 

生命保険会社が発行する控除証明書の約85%、損害保険会社が発行する控除証明書約90%が電子化に対応(令和3年10月現在)しており、今後さらに拡大する予定です。

年末調整手続きの電子化は勤務先、従業員の双方にとってメリットがあります。電子化の導入がまだされていない場合は今年の年末調整からの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(担当:今野)

 

 

 

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