会計・税務の知識

2022年07月21日 発行(法人税)交際費等の飲食費

はじめに

 

今回は、判断が難しく誤解も生じやすい、法人が支出する交際費等の飲食費についてご紹介します。

 

 

 

1.交際費等の範囲から除かれる「1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費除く)」について

 

得意先等との1人当たり5,000円以下の飲食費については交際費等から除かれるため、その全額が損金に算入できます。

ただし、飲食費であっても専ら社内の役員、従業員等を対象とした社内飲食費については、5,000円基準に該当せず、交際費等となります。

また、この基準を適用するには、下記事項を記載した書類を保存していることが条件となります。

 

①飲食年月日

②得意先等相手先の氏名又は名称とその関係

③参加者数

④飲食費、飲食店名、その所在地

⑤その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

 

 

 

2.交際費等の飲食費の判定例

 

(1) 1人当たり5,000円以下の判定

・飲食費用総額を参加人数で除した金額で判定します。

・1人当たり5,000円を超える場合に、その超える金額だけが交際費等に該当するのではなく、すべてが交際費等になります。

・飲食が1次会と2次会等、複数にわたって行われた場合には、別の飲食店でそれぞれ単独で行われていると認められる時は別々に判定します。一方で、実質的に同一の店舗で連続する一体の行為と認められるときは合計で判定します。

・会議に関連して弁当等の飲食物を提供する場合、通常要する費用の範囲内であれば、1人当たり5,000円超であっても交際費等には該当しません。

・消費税について、税込経理を採用している場合には税込金額、税抜経理を採用している場合には税抜金額で判定します。

 

(2)社内飲食費の判定

・飲食のために社内従業員等が相当数参加する必要があれば、得意先等である接待する相手方が1人であっても、社内飲食費には該当しません。

・資本関係が100%の親会社の役員等であっても、相手方としては社外の者となるため、その者との飲食等にかかる費用は、社内飲食費に該当しません。

 

(3)ゴルフ等に際しての飲食費

・ゴルフ、観劇・旅行(国内・海外)等の催事に際しての飲食等については、通常、その催事を主たる目的とする一連の行為の1つとして実施されるもので、飲食等は主たる目的である催事と不可分かつ一体的なものと考えられます。

よって、飲食等がそれら一連の行為とは別に単独で行われていると認められる場合を除き、それら一連の行為のために要する費用の全額が、原則として交際費等になります。

 

 

 

 

3.保存書類への記載事項例

 

・社内飲食費でないことを明らかにするため、その飲食に参加した得意先等の氏名又は名称とその関係を記載する必要がありますが、社内の役員や従業員等の氏名までの記載は不要です。

・原則として、得意先等の氏名等のすべてが必要となりますが、得意先等の氏名について、その一部が不明の場合や多数参加したような場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「○○会社・〇〇部、〇〇部長他5名、卸売先」等の簡略化した表示で良いものとされています。

また、保存書類の様式は法定されていませんので、記載事項を欠くものでなければ、適宜の様式で良いものとされています。

(出典:国税庁 交際費等(飲食費)Q&A)

 

 

 

 

おわりに

 

得意先等との飲食等の接待は日常的に行われ、経理処理も頻繁に行われています。

今回ご紹介したケース以外にも交際費等に該当するか判断が難しいものも出てくると思います。

判断に迷う場合には、事前に税理士にご相談ください。

(担当:福井)

 

 

 

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