会計・税務の知識

2022年04月07日 発行受取配当等の益金不算入の改正

はじめに

 

令和2年度の税制改正において、グループ法人税制における納税単位として、企業グループ全体を一つの納税単位として親法人が申告納税を行う「連結納税制度」から、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、そのグループ内で損益通算等の調整を行う「グループ通算制度」に見直されることとなりました。

令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されることになっており、グループ通算制度への移行に併せて個別制度においても同様の見直しがされることになりました。

今回は受取配当等の益金不算入制度の見直しについて解説します。

 

 

 

1.受取配当等の益金不算入とは

 

法人がほかの内国法人から配当等を受けた場合には、その受取配当等は企業会計上では収益として計上されますが、法人税法上は一定の申告要件を条件に、その配当等にかかる株式等の区分に応じて、その配当等の額の全額又は一定の算式により計算した金額を益金の額に算入しないこととしています。

 

 

2.益金不算入額の改正

① 配当等の区分に応じた益金不算入額

 

株式等の区分

株式保有割合

改正前の不算入額

改正後の不算入額

1.完全子法人株式等

100%

100%

変更なし

2.関連法人株式等

1/3超100%未満

100%-負債利子の額のうちその株式等に係る部分の金額

100%-関連法人株式等に係る配当等の額の4%相当額※②ロ参照

3.その他株式(1,2,4以外の株式等)

5%超1/3以下

50%

変更なし

4.非支配目的株式等

5%以下

20%

変更なし

 

 

② 改正のポイント

イ 株式等の区分判定については、内国法人及びその内国法人との間に完全支配関係がある他の法人を含む持株比率で判定されます(法法 23④⑥)。改正前は、連結納税制度を適用していない法人では、

「内国法人との間に完全支配関係がある他の法人」については含まれていませんでした。

 

 ロ 関連法人株式等に係る配当等の額のうち益金不算入となる金額は、その配当等の額からその配当等の額に係る負債の利子の額として一定の計算により算出した金額を控除した金額とされます(法 23①)。改正後は、支払利子等の額の合計額の10%を上限として、関連法人株式等に係る配当等の額の4%に相当する金額となります。計算は簡素化されますが、借入額が少ない法人は改正前より負債利子控除額が増加し益金不算入額が減少する場合があります。

 

 ハ グループ通算制度を適用している法人でも、短期保有株式等の判定は各法人で行います(法23②)。

 

 

 

おわりに

 

今回は受取配当等の益金不算入について解説しました。決して大きな改正というわけではないと思いますが、株式等の区分判定が変わったことについては注意が必要です。

(担当:菅原)

          

 

 

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