会計・税務の知識

2022年03月17日 発行雇用保険マルチジョブホルダー制度

はじめに

 

2022年1月1日より、65歳以上の方を対象として「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されました。

従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が所定労働時間週20時間以上かつ31日以上の雇用の見込み等の要件を満たす場合に、雇用保険の被保険者になることができました。

 

一方、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、労働者本人が自身の住居所を管轄するハローワークに申し出て、一定の要件を満たす場合、申し出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができます。なお、通常の被保険者と同様、任意脱退が出来ません。

 

 

 

1.要件

 

① 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること。

 

② 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して、1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

 

③ 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること。また、2つの事業所は異なる事業主であることが必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

2.失業給付

 

マルチ高年齢被保険者であった方が失業した場合、失業給付を受給することができます。

なお、2つの事業所のうち1つの事業所のみ離職した場合でも受給することができます。

 

①要件

離職の日以前1年間に11日以上の賃金支払いの基礎となった日数のある月が6か月以上(11日に満たない場合は80時間以上)の勤務実績等が必要です。

 

② 給付額の計算

a.賃金日額=離職の日以前6か月の賃金合計÷180日

ただし、1つの事業所のみ離職した場合は、離職していない事業所の賃金は含めません。

 

b.基本手当日額=賃金日額×給付率80%~50%

賃金日額

給付率

2,577円以上 4,970円未満

80%

4,970円以上 12,240円以下

50~80%

12,240円超  13,520円以下

50%

 

c.給付金の額=基本手当日額×30日もしくは50日

(被保険者の期間が1年未満の場合:30日分、1年以上の場合:50日分)

 

③ その他

育児休業給付・介護休業給付・教育訓練給付等も対象になります。

 

 

 

3.事業主の手続き

 

申出人からマルチ雇入届の記載依頼を受けた場合、速やかに事業主記載事項を記入し、確認資料(写し可)と併せて申出人へ交付します。

住居所管轄ハローワークから交付される「雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得確認通知書(事業主通知用)」を保管します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわりに

 

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、2022年から新設された制度で、労働者本人が手続きを行うことが前提となっているため、事業主から対象者へ周知することが望ましいと思います。 

(図出典:厚労省「雇用保険マルチジョブホルダー制度」リーフレット) 

 

(担当:白戸)

          

 

 

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