はじめに
2022年度税制改正大綱のうち、今回は「貸付けの用に供した少額減価償却資産等の取得価額の損金算入制度の見直し」「期限延長された主な制度」「大法人に対する法人事業税所得割の税率」について、その改正の内容を記載します。
1.貸付けの用に供した少額減価償却資産等の損金算入制度の見直し
少額の減価償却資産の損金算入制度について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものが除外されます。
これにより、30万円未満のドローンを表1の制度を用いて短期で損金算入し、当該ドローンを貸出すことで収入を得る、いわゆるドローン節税が封じられることになります。節税目的ではなく主たる事業としてリース事業、レンタル事業を行っている場合は、取得価額の損金算入は可能です。この改正の適用時期は未定です。
【表1】
制度 |
取得価額要件等 |
---|---|
少額減価償却資産の取得価額の損金算入 |
取得価額10万円未満又は使用可能期間が1年未満 |
一括償却資産の損金算入(注1) |
取得価額20万円未満 |
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入(注2) |
取得価額30万円未満 |
注1:3年間の各事業年度において均等償却
注2:1事業年度当たり300万円まで全額損金算入
なお、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入については、当該見直しに加えて、その適用期限が2年間延長(2024年3月31日までに開始する事業年度)されます。
2.大法人に対する法人事業税所得割の税率の見直し
次の表2のとおり、外形標準課税が適用される法人の法人事業税の所得割部分について、軽減税率適用法人に適用されていた年800万円以下の所得にかかる税率について1.0%とすることとなります。軽減税率不適用法人と足並みを揃えて、所得の多寡にかかわらず一律1.0%の税率が適用されることとなります。2022年4月1日以後に開始する事業年度から適用される予定です。
【表2】
区分 |
現行 税率 |
改正案税率 |
||
所得割 |
軽減税率 |
年400万円以下の所得 |
0.4% |
1.0% |
年400万円超 |
0.7% |
|||
年800万円超の所得 |
1.0% |
|||
軽減税率 |
― |
1.0% |
1.0% |
|
付加価値割 |
1.2% |
1.2% |
||
資本割 |
0.5% |
0.5% |
3.期限延長された主な制度
下記表3の制度は、2024年3月31日までに開始する事業年度まで適用期限が延長されます。
【表3】
制度 |
交際費等の損金不算入制度 ・接待飲食費に係る損金算入の特例 ・中小法人に係る損金算入の特例 |
国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度 |
おわりに
いずれの制度改正も身近なものであり、対象となる法人も多いと考えられます。改正の影響について反映漏れのないように、ご留意ください。
(担当:福井)