はじめに
2020年度税制改正において、連結納税制度を見直し、グループ通算制度へ移行することとされ、2022年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされました。
今回は、その中から中小法人・中小企業者等の判定及びその影響について解説します。
1.中小法人・中小企業者等の判定の概要
中小法人や中小企業者等に該当すると、優遇措置を受けることができます。連結納税制度とグループ通算制度では、当該措置の対象となる判定基準が異なります。
連結納税制度 |
グループ通算制度 |
連結親法人が、中小法人・中小企業者等に該当するか否かにより適用の可否を判定 |
通算グループ内のいずれかの法人が中小法人・中小企業者等に該当しない場合には、通算グループ内のすべての法人が中小法人等の優遇措置は適用なし |
2.適用制限を受ける制度
連結納税を導入している法人について、連結親法人が中小法人・中小企業者等に該当する法人は、連結納税からグループ通算制度への移行に伴い影響を受ける可能性がありますので、留意が必要です。
特例等 |
条文 |
所得金額年800万円までの法人税の軽減税率 |
法法66⑥ |
特定同族会社の特別税率(留保金課税)の不適用措置 |
法法67① |
貸倒引当金の損金算入制度 |
法法52① |
欠損金の繰越控除における所得金額の100%相当を控除限度額とする措置 |
法法57⑪ |
欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用の除外措置 |
租法66の12① |
交際費等の損金不算入制度における年800万円の定額控除制度 |
租法61の4② |
3. 参考
①中小法人
普通法人のうち、各事業年度終了時において、資本金または出資金の額が1億円以下の法人または資本もしくは出資を有しないもので、次の法人に該当するものを除いたものをいいます。
・相互会社及び外国相互会社(相互会社等)
・大法人(資本金または出資金の額が5億円以上の法人、相互会社等、受託会社)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
・完全支配関係にある複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている普通法人
・投資法人
・特定目的会社
・受託法人
②中小企業者
租税特別措置法の対象になる中小企業者とは、次の要件を満たすものをいいます。
・資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
・資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員が1,000人以下の法人
ただし、以下の法人は対象外とされています。
・同一の大規模法人(資本金または出資金の額が1億円超の法人や大法人による完全支配関係がある法人等)から2分の1以上の出資を受ける法人
・2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
おわりに
グループ通算制度への移行により、連結納税から移行する会社だけでなく、現在、連結納税を選択していない会社においても影響がでてくる可能性があります。ご不明な点があれば担当税理士までご照会ください。
(担当:福井)