はじめに
新型コロナウイルスの影響で、テレワーク、リモートワークなどが浸透し、今後も継続する企業が増えています。
これに伴い、福利厚生制度も見直され始めています。
今回は、選択可能な福利厚生制度「カフェテリアプラン」について紹介します。
1. カフェテリアプランとは
企業が従業員にポイントを付与し、豊富なメニューの中から自由に好きなものを選んでポイントの範囲内で
福利厚生サービスを利用できる制度です。
由来は、好きな飲み物や食べ物を幅広い選択肢から注文できる「カフェテリア」からきています。
2.一般的に導入される代表的な福利厚生メニュー
・家賃補助、住宅融資利子補給
・財形貯蓄奨励金、持株会奨励金
・健康づくり、各種健診、検診補助
・保育園、託児所補助
・介護、看護費補助
・社員食堂・食券利用補助
・宿泊・旅行費補助、イベントチケット補助 など
メニューが豊富なのでその時の状況によって自由に選択し組み合わせることができます。
3.カフェテリアプランのメリット
・従業員それぞれに対して一定のポイントを事前に付与するため、かかるコストが明確になる。
・勤務地や職種、年齢に伴って変化するニーズに影響されない。
・従業員が自主的にポイントを使って選択利用することで満足度が向上する。
・企業理念や従業員に合わせて企業独自の制度を作っていくため、福利厚生の充実を対外的にアピールできる。
4.カフェテリアプランのデメリット
・手間とコストがかかる。
ポイントの管理システムを自社内で構築した場合、管理する為には人手と費用がかかります。
メニューを充実させ、従業員の要望に応えるためには、柔軟に対応してシステムを変えていく必要があります。
・課税・非課税が混在する。
設定されているメニューの中には「給与」とみなされて課税されるものがあり内容に応じて課税・非課税を
判断しなければならないときがあります。
・ポイントには有効期間(単年度精算方式)がある。
使いきれずにポイントが期限切れで消滅するという状況になることがあり、これが従業員の不満につながる
ことがあります。
5.ポイント付与を受けた場合の国税庁の見解
・従業員に付与されるポイントに係る経済的利益については、原則として従業員がそのポイントを利用して
サービスを受けたときに、そのサービスの内容によって課税・非課税を判断することになります。
・企業の福利厚生費として課税されない経済的利益とするためには役員・従業員にとって均等なものでなければ
ならないことから、職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合にはカフェテリアプランの
全てについて課税対象となります。(所得税基本通達36-29)。
・ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランは、その全てについて課税対象となります。
(国税庁質疑応答事例より)
おわりに
「福利厚生とは、企業が従業員に対して通常の給与にプラスして支給する非金銭報酬である。また、
従業員の配偶者や家族、あるいはかつて従業員だった者にまで及ぶことがある」と言われます。
コロナ禍、働き方改革による従業員のライフスタイルやニーズの多様化により、今までのように画一的な
福利厚生制度では本来の目的が果たせなくなりつつあります。
また、正規従業員・非正規従業員の間でも公平な待遇をする必要性が高まっています。
カフェテリアプランは、ポイントを使ってニーズに合ったメニューを選択することで公平な
福利厚生制度を実現できることから、今後、益々注目されることと思われます。
(担当:吉原)