会計・税務の知識

2020年11月05日 発行消費税申告期限延長の特例

はじめに

 

従来、法人税は確定した決算に基づき行う必要があるため、申請に基づき確定申告書の提出期限を原則として

1月間(連結親法人の場合は2月間)の延長が認められております。

しかし、取引ごとに課税関係が明らかになるという消費税の性格上、消費税には提出期限の延長が認められて

いませんでした。

そのため、消費税の申告後、法人税の確定申告書の作成の過程で消費税の申告内容に誤りが見つかった場合、

修正申告や更正の請求を行う事務負担が生じていました。

さらには決算期末から申告に至るまで業務が集中することもあり、働き方改革を推進する産業界から消費税の

申告期限についても延長を求める声が上がっていました。

 

そこで、2020年度(令和2年度)税制改正で消費税の申告期限の特例が創設されました。

 

 

1.特例の内容(令和2年度税制改正)

 

 消費税の確定申告書を提出すべき法人法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人に限ります。が、

 消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書(消費税申告期限延長届出書)を提出した場合には、

 消費税の確定申告書の提出期限が1か月延長されます。

 

2.手続対象者

 

 消費税の確定申告の期限を延長しようとする法人

 (国、地方公共団体に準ずる法人の申告期限の特例の適用を受けている法人(注1)を除きます。

 

 (注1)「国、地方公共団体に準ずる法人の申告期限の特例の適用を受けている法人」とは、一般社団法人、一般財団法人、

     公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、宗教法人など、消費税法別表第三に規定する公益に帰する割合が高い法人が

     該当します。

 

3.提出時期

 

 【普通法人】

  特例の適用を受けようとする事業年度終了の日の属する課税期間の末日まで

 

 【連結親法人または連結子法人】

  特例の適用を受けようとする連結事業年度(その連結事業年度終了の日の翌日から45日以内に提出した場合の

  その連結事業年度を含みます。)終了の日の属する課税期間の末日まで

  

4.適用時期

 

 2021年(令和3年)3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用されます。

 例えば3月決算法人の場合、2020年(令和2年)4月1日~2021年(令和3年)3月31日の課税期間から適用されます。

 

5.提出方法

 

 届出書を作成の上、提出先に持参又は送付してください。

 ※2020.10月現在、電子申請による届出には対応しておりません

 

6.留意事項

 

 法人税と同様に、確定申告書の提出期限が延長された期間の消費税の納付については利子税が発生するため、

 決算日から2か月以内に見込納付を検討する必要があります。
 また、消費税の課税期間を1か月ごと又は3か月ごとに短縮している場合、提出期限の延長が認められる課税期間は、

 事業年度の末日の属する課税期間のみとなります。

 

7.中間申告の取り扱い

 

 消費税の中間申告は、その確定申告の納税額により1回から11回まで規定されています。

 今回の改正は、確定申告のみの規定ですので、中間申告の申告・納付期限は延長されません

 

 

終わりに


 
法人税の申告期限延長法人においては、法人税と消費税の申告期日が同日となり申告の期日管理に有効だと思います。

 

 

(担当:小野)

 

 

 

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