はじめに
12月は令和元年の年末調整の手続きを行い、年が明けると、
いよいよ令和元年分の所得税確定申告のシーズンに入ります。
今回は来年の給与計算や確定申告に影響する、令和2年分から適用される所得税改正について
説明します。
1.給与所得控除 引下げ
給与所得控除が以下のように引き下げられます。
給与等収入金額 | 給与所得控除額 | |
~令和元年 | 令和2年~ | |
180万円以下 | A×40%
(最低65万円) |
A×40%
-10万円 (最低55万円) |
180万円超
360万円以下 |
A×30%
+18万円 |
A×30%
+8万円 |
360万円超
660万円以下 |
A×20%
+54万円 |
A×20%
+44万円 |
660万円超
850万円以下 |
A×10%
+120万円 |
A×10%
+110万円 |
850万円超1,000万円以下 | 195万円
(上限) ※所得金額調整控除あり |
|
1,000万円超 | 220万円
(上限) |
(A:給与等収入金額)
控除額が10万円引下げられ、その上限額も最大25万円引下げられます。
2. 基礎控除 引上げ(所得に応じて逓減)
基礎控除が以下のように変わります。
合計所得金額 | 基礎控除額 | |
~令和元年 | 令和2年~ | |
2,400万円以下 | 38万円 | 48万円 |
2,400万円超
2,450万円以下 |
32万円 | |
2,450万円超
2,500万円以下 |
16万円 | |
2,500万円超 | 0円 |
控除額が10万円引き上げられますが、高所得者は反対に引下げられます。
3. 青色申告特別控除額 引下げ(一定の場合維持)
青色申告特別控除 | ~令和元年 | 令和2年~ |
65万円(e-tax無) | 65万円 | 55万円 |
65万円(e-tax有) | 65万円 | 65万円 |
10万円 | 10万円 | 10万円 |
65万円の青色申告特別控除額は、電子申告又は電子帳簿保存を行っている場合は維持されますが、
いずれも行っていない場合は10万円引下げられます。
10万円の青色申告特別控除額に変更はありません。
4.扶養親族、配偶者の所得要件 引上げ(収入据置)
扶養控除や配偶者控除を受けるための扶養親族や配偶者の所得要件が以下のように変わります。
所得/収入 | 適用を受けるための要件 | |
~令和元年 | 令和2年~ | |
合計所得金額 | 38万円以下 | 48万円以下 |
給与収入(給与のみの場合) | 103万円以下 | 103万円以下 |
所得の上限が10万円引上げられます。給与所得控除が10万円引下げられるため、
給与収入のみの場合の収入の上限は据え置かれます。
5.配偶者特別控除の所得要件 引上げ(収入据置)
配偶者特別控除を受けるための配偶者の所得要件が以下のように変わります。
所得/収入 | 適用を受けるための要件 | |
~令和元年 | 令和2年~ | |
合計所得金額 | 38万円超
123万円以下 |
48万円超
133万円以下 |
給与収入(給与のみの場合) | 103万円超
201.6万円未満 |
103万円超
201.6万円未満 |
所得のレンジが10万円引上げられます。給与所得控除が10万円引下げられるため、
給与収入のみの場合の収入のレンジは据え置かれます。
6.勤労学生控除の所得要件 引上げ(収入据置)
本人が勤労学生である時の勤労学生控除を受けるための所得要件が
以下のように変わります。
所得/収入 | 適用を受けるための要件 | |
~令和元年 | 令和2年~ | |
合計所得金額 | 65万円以下 | 75万円以下 |
給与収入(給与のみの場合) | 130万円以下 | 130万円以下 |
所得の上限が10万円引上げられます。給与所得控除が10万円引下げられるため、
給与収入のみの場合の収入の上限は据え置かれます。
おわりに
紙面の都合上割愛しましたが、他にも次のような改正があります。
公的年金等控除の引下げ/特定支出控除の対象となる支出の見直し/
所得金額調整控除の創設(担当:山田)